洋楽クラシックロック雑記帳

懐古趣味の70年代、大体リアルタイムの80年代を中心に思いつくまま。ほぼ備忘録

憧れのSONY MUSIC TV

新聞TV欄に載っていたのは「MUSIC TV」という表記、正式な番組名は「SONY MUSIC TV」。
で、その枠に少し列記されたアーティスト、バンド名から洋楽の番組なのだとわかった。
毎週金曜夜11時30分から翌2時50分までという魅力的すぎる長時間。
こんなのを見つけてしまったら願いはひとつ。

見たい!

しかし、残念ながらそれを望んでもすぐに諦めなければならなかった。
その当時の私の就寝時間は夜の10時だったからだ。
これは親から言い渡された掟である故、破れない。
とはいえ......10時は早すぎる。中学生になったのに......
内心不満に思いながらも、仕方ない。

あーあ、いいな〜見れる人は。
夜の11時半からの世界ってどんなかんじなんだろう。
私はいつまでこうやってその時間のTV欄を眺めるだけの刑に服さなければならないんだ?
ただちょっと遅い時間帯にTVを見る、それだけのことじゃないか〜!!

だんだん腹が立ってきた私。
もう中1の3学期ぐらいになっていた。

(親に見つからないようにすればいい)

別に悪いことするわけじゃないし。
とにかく親が寝たのを見計らい、そーっと階段を降りる。
やっかいなことには、母は寝付きが悪いのかちょっとした物音ですぐ起き出す。
で、寝ろと怒られて作戦は失敗。

懲りずに別の日、なんとか階段をクリアしてTVをつけようとすると、絶妙のタイミングで母がトイレに起きてくる。
そしてまた怒られる、と。

もう出来過ぎなくらい、なんでこうなるんだという。
それでもめげずに挑戦しては見つかって連行され(!?)。

「見せて〜!MUSIC TV見せてよ〜〜っ!!」

......必死。

そんなことを繰り返すうちに要領を掴み、この作戦はちょっとずつ成功し出してきた。
部屋の電気は消したまま、TVの音量は最小。手は常にTVの電源スイッチに触れておく。
母が起きてくるのを察知すればすぐTVを消してどっかに隠れる(忍者かお前は)。

視聴時間も用心してさっと垣間見る程度で切り上げるのを心がけていたが、やはり見たい気満々なのでつい長く見てしまう。
夢中になって見ているといつのまにか母がそばにいた。

「電気ぐらいつけたら。ほどほどにして早く寝なさいよ」

てっきり怒られると思ったのに。
母はあきらめたのか、ついに態度が軟化し始めたのだ──。


そんなこんなで見始めた憧れのMUSIC TV。


*懐かしいCMも

SONY MUSIC TV OP~CM~ED




VJ不在の洋楽MVを流す番組。
ただ、真ん中ぐらいの時間帯に日本人アーティストのMVを流すコーナーも(後にこのコーナーはなくなる)。
LIVEをピックアップしたコーナーもあった。
あとはひたすらMVをそのまま。途中でカットもフェイドアウトもなく。
それが一番嬉しかった。
あ、特集するアーティストのMVをあるだけ全部(多分)流してくれる「PICK UP ARTIST 」というコーナーもあったな。

まるごと全部リクエストの曲だけで構成される「REQUEST SPECIAL 」の回があったり、「ONE- HIT WONDER(一発屋)」の回があったりなど、だんだんバラエティに富んでいったかんじ。

電話によるオンエアプログラムの自動音声案内(このサービスは途中から始まったと思う)を聞き、好きなアーティストのMVオンエア時間をことごとくメモ。
お気に入りのMVがたくさん予定されている時は金曜日の来るのが待ち遠しいものだった。

ちゃんと見始めた当初は一応何時までという母からの制限があったり、眠気に負けたりとなかなか最後まで辿り着けなかったが、初めて最後まで見てエンディング画面が出てきたとき、深夜なのも相まってちょっと怖かった記憶がある。
放送時間はその後短くなり、残念で寂しかったが、それでもやはり貴重な番組だった。

土曜日には当たり前に学校があって、でもMUSIC TVを見て夜更かししたからしんどいなんて、まさか!
逆にリフレッシュしていたのではと思うくらいである。