洋楽クラシックロック雑記帳

懐古趣味の70年代、大体リアルタイムの80年代を中心に思いつくまま。ほぼ備忘録

MTV : Music Television

アメリカに「MTV」という24時間ずっとミュージックビデオ(以下MV)を流すチャンネルがあるということは雑誌でちらっと読んで知っていた。
それが中1のときで、そういうのってなんかすごいカッコイイしうらやましいなーと思っていた。
そんなシステム、日本にはないしな……とか。

ただ、私が知らないだけで日本でもMTV:Music Television(以下MTV)という番組は84年に始まっていた。
アメリカのMTVスタジオから送られてくる映像素材を番組用に再編集し、独自のキャスターを置くというスタイルで(ウィキペディア参照)。


私がMTVを初めて見たのは中2のとき(85年)。
この地点では誰がキャスターだったのかも、放送は週1だったのか週2だったのかも覚えていない。

で、その頃はまだ基本的に母からの夜更かし禁止令がまかり通っていたこともあり、どうしても見たいときは母を拝み倒す必要があった。
その後、母もうるさく言わなくなってこういう番組を自己責任で(朝はちゃんと起きるとか)見るようになった頃に書いていたノートを調べてみると、「ヘヴィメタルマニア」というプログラムの中でヘヴィメタルTop20カウントダウンをトゥイステッド・シスターのボーカル、ディー・スナイダーが V Jでやっていたのを書き写したものがあった。

この当時は家にビデオデッキがなかったので、映像は無理でもせめて文章に残しておきたいという切実な思いがあり、結構こういうことをやっていたのだ。

まず、あらかじめ裏が白紙のチラシをたくさん用意しておく。
あとはひたすら必死に字幕を目で追いつつ、紙にそれを写し取っていく(殴り書き)。
字が汚すぎて判読不明になることも。

ノートには冒頭、こう書いていた。


1986年2月16日(日)

* VJ ディー・スナイダー*

2/9、MTVを見た。ほんだらディー・スナイダーがヘヴィメタルトップ20をやってくれとってん!
前半をかいたからなー。ぬけてるとこ、いっっっぱいやけど…!


──そんな抜けてるとこがいっぱいの前半、そして後半(3月15日(土)記)。
なんだろう。我ながらけなげである。
ちなみに「ほんだら」とは「そうしたら」という意味。

番組中、ディーが“ヘヴィメタル”クリスマスツリー(飾りがそれっぽい仕様)の説明などしているのでアメリカではクリスマスに放送されたのかも。
後半の途中からモーターヘッドレミーがスタジオに登場(ゲストとして)。
カウントダウンの合間にいくつかのバンドのインタビューというかコメントというか、ごく短いVTRも挟み込まれていた。

せっかくなのでそのときのTop20だけでも記しておこうかな。
でも、これも抜けてるけど!(あ゛〜)。


*Heavy Metal Top20

1: Motley Crue / Smokin' In The Boys Room

2: Kiss / Tears Are Falling

3: Ratt / You're In Love

4: Twisted Sister / We're Not Gonna Take It

5: Motley Crue / Looks That Kill

6: Motley Crue / Home Sweet Home

7: Judas Priest / You've Got Another Thing Comin'

8: Scorpions / Big City Nights

9: Dio / Rock 'n' Roll Children

10: Ratt / Lay It Down

11: Motley Crue / Too Young To fall In Love

12: Def Leppard / (何の曲か記述なし)

13: Ratt / Round And Round

14:Twisted Sister / I Wanna Rock

15: Motley Crue / Live Wire

16: Twisted Sister / Leader Of The Pack

17: Bon Jovi / In And Out Of Love

18: WASP / Blind In Texas

19: Dokken / Alone Again

20: Ozzy Osbourne / Bark At The Moon


さて、毎週見るようになったのは中3のときぐらいから。
たしか深夜0時台から、週2(土日)の放送だった。
キャスターはセーラとマイケル富岡
どっちがどの曜日だったか忘れたが、二人一緒の日とマイケルだけの日があったように思う。
 
セーラはモデル、DJ、女優などで有名だった人。
マイケル富岡のことは「ミュージックトマトJAPAN」という邦楽MVを流す番組のVJとして知っていた(そのときの表記は「マイキー富岡」)。

二人ともハーフで日本語トークの中でもアーティスト名や曲名の発音はネイティブ。
そんなキャスターぶりを尊敬の眼差しで見ていて、勉強になる〜、みたいな(でも速攻忘れる)。 

で、印象としてはセーラは親しみやすいさっぱりキャラ、マイケルは穏やかなお坊ちゃんというかんじ。
私には姉弟的なコンビに見えた。

しかし、番組の進行やコーナーなどあまり覚えていない。
とりあえず、また当時書いていたノートと昔録画したビデオを移したDVDの中からMTVに関するものを探してみる。

MTV Top20ビデオカウントダウン、New Adds(最新のビデオクリップをピックアップしてお届けするコーナー、と番組の中でマイケルが言っていた)。
リクエストのコーナー、MVの制作情報などを伝えるNew Video File(ニューヨークのMTVスタジオからのVTR)。
来日したアーティストへのインタビューやゲストVJの日があったり。

あと、懐かしい映像を紹介するクローゼットクラシックスというコーナーもあって私はそれを見るのがすごく好きだった。
知らないということは興味深く、新鮮である。
私の懐古趣味はこういったきっかけで始まったのだろう。

あ、番組後期には「One Night Stand」という、ある特定アーティストの来日公演に特別待遇で招待するみたいなイベントもあったな。
応募者の中から選ばれたファンはなんかすごい、いい思いをするっていう(雑な説明だなー)。


アポロ11号が打ち上げられ、月面着陸後に立てる旗にはMTVのロゴ、というオープニング映像&テーマ曲、番組の合間のバリエーション豊かなアイキャッチ。MTVのロゴ自体も外国!ってかんじ(なんだそれ)で好きだった。




www.youtube.com



そして様々なバンド、アーティストによる、「Hi,I'm(We're)〜(名前). You're watching MTV music television」の定型セリフのあと、「Don't go away」とか「Stay tuned」とか言う短い映像はそれぞれの個性をさりげなく楽しめたものだった。

MTVは当時、音楽メディアの最先端というふうな認識だったし、とにかくこの番組で本場の空気みたいなものを少しでも感じられる、そんな感覚が一番嬉しかったように思うのである。