洋楽クラシックロック雑記帳

懐古趣味の70年代、大体リアルタイムの80年代を中心に思いつくまま。ほぼ備忘録

別バージョン (3)

*セルフリメイク


セルフリメイクとは、過去に発表した自作品をアレンジ、再レコーディングすること。
今回はそれぞれのバージョンの曲への思い出やらを。


シカゴ「25 Or 6 To 4」(1986バージョン)




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オリジナルは1970年発表、邦題は「長い夜」。

先に知ったのは86年バージョンの方。
当時私は中3で、邦題から知り、そのあとすぐ原題表示を見たとき、なんだか意味不明な数字の並びだけど、それがまた暗号的でかっこいいなと思った。 


(25 か 6 から 4……)


時間の何か?
でも、数字同士の関係が説明出来ない。


そんな不思議な直訳しか出来なかった私、早々に行き詰まる。


……ま、とりあえず訳の方は置いといて(トホホ)、なんでこのタイトルがあんなふうな邦題になるのか、原題だけでいいのにな〜なんて思ったりしているうちに年月は過ぎ、現在に至る(!)。


ということで今回、やっとこさタイトルに関して調べてみた(以下、ウィキペディアを参照、抜粋)。

「午前4時の25〜6分前」(=午前3時34〜35分)

という訳になるそうだ。

この曲の作者であるロバート・ラム(vo.kb)曰く、「ただ時間について言っているだけ」。
真夜中に曲を作っていて、時計を見たらその時刻だった、ということ。

そして歌詞を読むと、作品を生み出そうとするその時間というのが、そのまま「長い夜」であったのだな、と。
そんな感想が出てくると、代わりにこの邦題に持ち続けていたマイナスな感想はなんとなく薄まっていった。

ただ、歌詞の解釈については諸説あるようで(こういうのもあるある?)。


さて。

86年バージョンでは新加入のジェイソン・シェフ(vo.ba)がボーカルを担当。
オリジナルメンバーのピーター・セテラ(vo.ba)はすでに脱退していてソロになっていたのだが。

この曲を聴いたとき、私はちょっと混乱したような記憶がある。


(あれ?歌ってるの、ピーター・セテラ?)


セルフリメイクとはいえ新曲なのに元メンバーがボーカルを担当するわけないなどと思いつつ、私はそれがピーターではないとの確信が持てなかった。

裏を返せばそれだけ新メンバーのジェイソンの歌声はシカゴのボーカルとして違和感なく耳に入ってきたということ。

ちなみにミュージックビデオ(以下MV)には申し訳程度にジェイソンを含むシカゴのメンバーが登場しているのだが、当時の私は見逃していたのだろう(のちにボーカルに関して正しく認識)。

で、曲。

曲調はシリアス、サウンドはハード。
MVのイメージも重なって、無機質な雰囲気の中にシカゴならではのホーンセクションが息遣いを感じさせつつ、メカニカルに組み込まれて聴こえてくるかんじ。

前作「Chicago 17」(1984年)からのシングルはハードテイストな「Stay The Night」以外バラードや軽やかな曲が続き、それらの楽曲もすごく好きだったのだが、次作「Chicago18」(1986年)からの先行シングルであるこの「25 Or 6 To 4」は私の感覚からすれば久しぶりのハード系の曲という印象で、このときすでにヘヴィメタル、ハードロックリスナーとなっていた私にとってはシカゴがまたこういう曲をやってくれるということが嬉しかった。

そんな、力強く当時の音のかっこよさもあったこのセルフリメイク曲。
私からすれば、オリジナルの方はすごく昔に発表されたのだな〜、ちょっと興味あるけど、という程度の感想で終了していた。

その後、私は自分の知らない時代の洋楽に興味を持つように。

で、高1くらいのときだったか、新聞ラジオ欄にてシカゴの過去曲を特集する番組を見つけた私は張り切ってエアチェック
このときの目当ては、ラジオ欄に載っていた方のタイトルで表すと「素直になれなくて」(原題 「 Hard To Say I'm Sorry」)。
そしてもう1曲、お、と思った「長い夜」。
もちろん、オリジナルである。




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DJはシカゴの歴史をコンパクトに紹介。
断片的な記憶しかないが、当時の時代背景、反戦運動シュプレヒコール怒れる若者たち……そんなワードと共に、政治的なメッセージのある曲をやっていたということに驚いた。
私が知っているシカゴにそんなイメージは全くなかったから。

さて、録音ボタンを押す。

「いったい現実を把握している者はいるだろうか」(原題 「Does Anybody really Know What Time It Is」)という曲のタイトルの小難しさに怯むも、そんな曲を聴いている自分ってなんかすご〜い(勘違い)とか悦に入ったりしているうちに始まった「長い夜」。


軽っ!


ギターの音がペラペラしていて、それが当時の音ということなのだろうが、私の耳には86年バージョンの音が基準になっていたから、それと比べるとどうしてもオリジナルの音は肩透かしを喰らったみたいに感じてしまった。

テンポも小気味良く、「あ、速〜」とかなっている間にも曲はどんどん進んでいって取り残されそうになる勢い。
 
そしてギターソロ、こちらも進撃するかのようなバッキングを背に脇目も振らず──やっぱりその、ペラペラした音は気になったけど──あと、当時の私はワウをかましたうねる音色もあまり好きではなく、ちょっとギターがなあ……みたいな感想だった。

ボーカルはハリのある澄んだ声で攻撃的に歌う、その声こそはピーター・セテラ。それだけで感動。
オリジナルということをそこで実感するみたいな。

リメイクバージョンのときもピーターが歌っていてほしかったけど、オリジナルを聴いて改めてまたそんなことを思ったり。

こちら、86年バージョンと比べて軽くて速い(私の感覚)、でも熱量はとんでもないというアンバランスさ、それらが混沌と圧になっているように聴こえて、聴くこちら側も立ち向かう覚悟がいるというか……昔のギターサウンドに耳が慣れず苦手だったこともあり、かっこいい曲に違いないのだが、それよりも他に録音したふんわりと優しい曲、「愛ある別れ」(原題 「If You Leave Me Now」)や「朝もやの二人」(原題 「Baby,What A Big Surprise」)など、そっちの方ばかり聴いていたかんじ。


ということで、近年は両方の曲を聴くこともなくなっていたのだが、このお題で記事を書こうとしたときにふと86年バージョンのことを思い出し、YouTubeで動画を検索しているときに関連動画として出てきたのがこの曲のライブ。




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なんとなく見始めたが、自然と目が釘付けになっていた。
最初に聴いたときのネガティブな感想のまま止まっていた、あのギターソロパートに。

何かに憑依されたかのような、息つく隙もない怒涛のインプロヴィゼーション
おばちゃんとなった私は、もうその音が古くてなんか嫌だとか思わない。
ただただ、めちゃくちゃカッコイイギターソロだと思うのみ!

ギターはテリー・キャス。
ちなみに私がエアチェックをしたときの番組DJは「テリー・カス」と発音していた。
そしてその中で語られた、銃によるアクシデントにより亡くなったということが衝撃的で、その印象ばかり残っていて彼がどの楽器の担当であったのかなど全く頭に残っていなかった。

こうして過去の貴重な映像を視聴することが出来る時代になって初めて知ることも、再発見することも本当に多い。


ライブバージョンが飛び入り(!)となって少し脱線してしまった。

ということで。

私からすると懐かしい86年バージョン、硬派な聴き味のオリジナル。
年齢を重ねてから改めての聴き比べもまた一興である。

別バージョン (2)

思い出すことの続き。


*ライブバージョン

洋楽リスナーとして初心者だった頃。

まず先に知るのはスタジオ録音された曲(オリジナル)の方が多かったし、とにかくオリジナルを地道に聴いていくことこそが王道。

そんな基本思想(!?)の下、買い求めるのはもちろんオリジナルのみ。

当初はシングル盤を、その後LP盤(アルバム)に手を出すようになると、いつしか「ライブアルバム」なる存在を横目でチラチラ、うす〜く気にするように。
こういうのを聴くのが上級洋楽リスナーに近づくための次なるステップなんだろうな〜みたいな。


……そう思いつつ、私はその、「ライブ」というのがなんとなく苦手だった。

目当ての曲のシングルB面が何かの曲のライブバージョンだったときなど、なにやらハズレくじを引いたみたいな気持ちになってしまったり。

なんというか……まず、演奏の聴こえ方がいやだった。
その場にいて聴いているときのような反響音などで不明瞭なかんじ、というほどではないものの(これに関しては録音方法により違いはあるが)、とにかくスタジオ盤とは違う聴こえ方というのがなぜか許せなかった。

なおかつ会場のざわめき、拍手、歓声、あと、掛け合いなんかのライブならではの観客と一体化した空気感が好きではなかったのだ。

加えてオリジナルで知っている曲に関してはレコード通り演奏してくれない傾向(ボーカルの、ここぞ!というところでのフェイクとか)もモヤモヤしてしまって、ライブアルバムを敢えて購入するということはかなりのハードルの高さとなっていた。


(ライブ演奏を聴くのがイヤだという感覚……これはまずい……というか、おかしい?)


よくわからないが、このままでは一人前の洋楽リスナーへの道はきびしいのではないか?
とにかく、少しずつ慣れ(!)なくては──。


とまあ、自分勝手な焦燥感に脅かされながら、中2か中3頃からまずはラジオで気になるバンド、アーティストのコンサートの模様を収録した番組を見つけてエアチェックするように。
そうして、日々のBGMとして聴いていくうち、少しずつ良さを感じ取れるようになった(と、思い込もうとして歯を食いしばった時期もありつつ。何の苦行?)。


……と、いうことで以上は「聴く」のみの場合での話。

なんと、テレビの洋楽情報番組にて「見る」ライブとなると案外すんなり受け入れることが出来ていた(なんだそりゃ)。

おそらく、私が洋楽をラジオではなく、テレビ(ミュージックビデオ)でより親しんでいったから、かな?

う〜ん。関係あるような、ないような。

あ、でもやっぱり、知っている曲のライブバージョンは映像込みであってもちょっとイヤだったかも……(ややこしい奴だな〜!)。

で、その後。

高校生の頃にはもう、「聴くのみ」のライブバージョンも普通に楽しめていたように思う。
そして、晴れてライブアルバムをも購入するまでに成長。


が、しかし!(まだ何か?)。


同じ内容のライブアルバムとライブビデオがあったとき、どちらを取るかといえば私はビデオの方であると。

たとえアルバムの方と比べて多少、値が張っていようとも。
すべてはメンバーの姿を拝みたいミーハー精神、それこそが己の財布の紐を緩めていたのである。



……って、何の話してんだ!?



どうにも話が締まらないが、締まらないついでにもう少し。

スタジオ録音のオリジナルとライブ録音、いいとか悪いとか別にして結局どちらを先に聴いたかで自分にとっての別バージョンが決まってくる、というのもあった。

ライブから知った場合は、もうそのときのライブが自分の中でのオリジナルになってしまい、逆にオリジナルの方が別バージョン扱いに。

いや、あとになってオリジナルを聴くと、なんかおとなしいし物足りないって感想がどうしても……。

ま、まあ、そんなもんだといえばそうなのだが、ほんと、最後まで支離滅裂!



ということで、先にライブの方で知って好きになり、そのライブバージョン以外はオリジナルも含め、なんかピンとこない……という曲の中から2曲。
どちらも知った媒体はラジオ。


オジー・オズボーン「I Don't Know」

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パット・トラヴァースStevie

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次はテレビの洋楽情報番組でこのライブバージョンを知り、すでに聴いていたオリジナルよりいいなと思った珍しいパターン。
オリジナルにはないオープニング部分がギターをフィーチャーしたインスト曲のようで、短いながらもすごくカッコイイ。

エス「Owner Of A Lonely Heart」

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ということで、まだ続く模様。

別バージョン (1)

この直前の記事でほんの少しだけ触れかかった「別バージョン」。
今回はそれをお題に深堀りすることなく(出来ないだけ)、ただ取り留めなく思い出してみる。

まずはいろいろな別バージョンから。


*日本語カバー

初めて接した別バージョンといえばやはりこれだろう。
洋楽の日本語バージョンである。  

といっても歌詞は原詞をそのまま訳してとかではなく、新たに日本詞が付けられ、タイトルは同じだったり違っていたり。

小学生のとき、テレビの歌番組を見ていてアイドルの曲を司会者が紹介するときなど、原曲は誰それ(外国人の名前)と言っているのを聞いてなんとなくそれがすごい格のあることのように思えて、よくわからないけどなんかすごいのかな〜みたいな。

これが洋楽リスナーとなってからの中学生の頃にはカバー曲の捉え方がまた違ってきて、特に大映ドラマにおけるあれもこれも主題歌はカバー曲(と言いつつ、あまり見たことないけど)というのがどうにもカッコ悪く感じるようになっていき、やっぱり聴くべきは洋楽オリジナルの方!とエラそうにほざくようになっていた。

あと、逆パターンというかややこしい思い出として、カバーであることを知らなかったゆえの勘違いというのもあった。
田原俊彦「哀愁でいと」という曲のことなのだが、そのあたりの思い出は過去記事に↓


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そんなこんなで私が初めて知った日本語カバー曲は何だったかを思い出してみると、おそらくそれは西城秀樹ヤングマン(Y.M.C.A)」(1979年)なのではないかと。
ただ、当時これがカバー曲だという認識はなく、知ったのは後のこと。
オリジナルはヴィレッジ・ピープルの「Y.M.C.A」(1978年)である。

多分、この曲のことを母経由で知った……と思う。
母は「ワイエムシーエー」と呼んでいた。
だからもう、それが曲名だと思い込んでいた。

サビで繰り返すところだし、何より子供の心をも大いに掴んだあの振り付けのインパクトはすごかった。
 
で、あとになってそれは「ヤングマン」という曲名だと誰かから訂正されたのだが、私はその人の方が間違っていると思った。

「違うで。その歌、”ワイエムシーエー“ やで」


しかし、その教えてもらった曲名はどうも本当のようだと知ったときはなんだかがっかりした。
そしてやっぱりしっくりこなかった。

「なんで “ヤングマン” ? “ワイエムシーエー” でいいのに!」


……いや、 “ヤングマン” のあとに(Y.M.C.A)ってついてること、今回ウィキペディアを見て知った……。


ま、ともかくオリジナルの方はその “ワイエムシーエー” 、「Y.M.C.A」がタイトルなのだから、本家を知らずともやはりこちらの方がスッと入ってきたのであろう。

後年、その本家のミュージックビデオを見たときには中学生になっていたと思う。

映像の質感に、昔のやつってかんじ〜、とか思ったような気がする。
メンバー6人、皆それぞれコスプレしていたけど全体的に色味が地味?
その中では目立っていたインディアンの人しか目に付かず。

西城版の方が衣装も派手、キラキラと若いパワーがほとばしっていたから、今思えばなるほどこれは「ヤングマン」だわーみたいな。

という訳で、先に知った方に華がありまくっていたせいで(!)本家の方に物足りなさを感じてしまった次第。

でも何より不満だったのは、あの「Y.M.C.A振り付け」を本家はしていなかったこと!(どっちが本家なんだか!)。




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*12インチエクステンデッドバージョン

他にも12インチリミックスバージョンとか、なんかいろいろ呼び方があったように思う。
なんにせよラジオを聴き出した84年、このバージョンは結構かかっていた。
12インチってなんなのかわからなかったけど、なんとなく響きがカッコイイし、こういうの流行ってるのかなと感じた。

で、聴いた感想はというと残念ながら当時の私にはただ曲をダラダラと引き延ばしているようにしか聴こえず……。
イントロが長くてなかなか歌が始まらなかったり、間奏もこれまた長かったりしてついイライラ!

そんな当時の小さい思い出。

ラジオで好きな曲のイントロが流れ、エアチェック出来る!との喜びもつかの間、それが12インチバージョンのときの微妙な気持ち。
でもせっかくのチャンス、つい録音ボタンを押してしまった。


───曲、 長いな…… テープ、足りなさそう ───



回り続けるカセットテープを睨む私。
オリジナルバージョンなら曲が最後まで流れたとしてもなんとか録音出来そうなテープ残量。

でも12インチバージョンでは途中でテープは切れる(終わる)予感。

それなのに録音を続ける。


(なんで12インチ?もう!)


やっていることと気持ちとが矛盾したまま、勝手にモヤモヤ。
そして案の定、曲の途中でテープが切れてようやく冷静に……。


元曲とはまた違うあれこれが施されている発見もあるとはいえ、私からするとそういうのはいらなかった。


(こういうバージョンってディスコで踊る人たちのバックで流す用みたいだし、そういう場では曲を聴くというより曲に乗るみたいな。とにかく曲の雰囲気が長く続けばそれでよいというかんじ?)


そんなフワッとした解釈をした上で、自分には合わないし関係ないなと。


ということでそんな中のひとつ、デュラン デュランの「The Reflex(Dance Mix )」(1983年)を。

しかし、今になって聴くと新鮮。




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*こちらはオリジナル

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……続く。

10cc 「Don't Turn Me Away」

なんだかんだ書き散らす前に。

エリック・スチュワート(vo.gt.kb)が弾いていたのはフェンダー
ローズピアノ(Rhodes Piano)

私はずっとエレピ(エレクトリックピアノ)とだけ書いてきたが、今後はローズピアノとかローズとかフェンダーローズ、というふうにも書こうと思う今日この頃。


さて。


「Don't Turn Me Away」(邦題「恋の回り道」)、アルバムは「Ten Out Of Ten」(邦題「ミステリーホテル」)、1981年発表の8枚目。


曲はYouTubeで発見。





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動画は当時英BBCにて放送されていたTV番組「Multi-Coloured Swap Shop」出演時のもの。

唐突気味に始まって、でもなんかそれがいい。
テレビのチャンネルを変えていたらパッとその場面に出くわして、そのまま惹き込まれるみたいな感覚。

途中から「Don't Ask」(これも曲の途中から)の演奏映像に切り替わってしまうのがちょっと残念ではあるが、この曲もいいかんじだから結局は一度で二度おいしい。

でもまあ、ここでは「Don't Turn Me Away」の感想だけを。 


優しく美しい音色が聴こえてきただけで癒しがそこはかとなく。
その曲調とエリックの雰囲気、少し憂いを帯びた歌のメロディ、柔らかく聴く者を包み込む歌声……それらがふんわりと調和していて実に心地よい。

もっとも、この動画バージョンにすっかり馴染んでいたせいか、改めてきちんと一曲通して聴いてみたら「なんか違う……」と本末転倒な違和感を覚えてしまったというオマケ付き(コラ)。

あ、だからいやだとかそんなんじゃないよ(ハイハイ)。


一曲まるまるバージョン↓




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こちらのエリック、髪型が少年ニュアンス。

で、当て振りリップシンクがSwap Shopのときより気合い入ってる風。
そういうの、なんとなく、珍しい(!)。


さて、では他のメンバーはというと……。


まずグレアム・グールドマン(ba.vo.gt)。
この曲はエリックがメインなのでサラッと控えめ、でもちゃっかりエリックの横にいる(ちゃっかりってなんだ)。

今作からまたデュオ体制に戻った10cc。
前作までは正式メンバーだったリック・フェン(gt)、ポール・バージェス(drs)は再びサポートに。
ややこしいというかなんというか。

リック、いい人そう。
ポール、髪がストンとキレイ。

ヴィック・エマーソン(kb)はサッド・カフェというバンドなどで活躍していた人。
立ち位置のせいかあまり映っていないがカラフルな服、ファンキーな存在感。

サックスの人は、誰だろう?
アルバムの参加ミュージシャンを調べてみると「レニー・クルックス」とあったけど、映像も御本人なのかな?
とにもかくにもクラシックミッキーのトレーナーがかわいい。

で、曲の感想をあとちょっとだけ。

音と音を丁寧に織りなしていくイントロから前述の感想パートへ、という流れ。

全体の曲調はおしゃれで軽やか。
ホッと落ち着いて聴ける。
エリックの歌声は優しさはそのままに曲が進行するに連れて力強くもなっている印象。

そのエリックの奏でるかわいい音色はアウトロでのサックスとの対比も面白い。

で、サックスソロは大人の安らぎに包まれてゆったりと、そして透明感あるバックコーラスがすごくいい。


さて最後はこの曲の別バージョン。

10ccの40thアニヴァーサリーボックスセット「Tenology」(2012年)に収録されているのがこちら。




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当時のデモ音源とか??
この豪華なセットボックス、持ってないから詳細がわからん……。

アレンジの暫定的なかんじとか、エリックの歌い方がほんの少しだけラフに感じるのとか歌声が大きく聴こえる気がするとか、そういうのがプチ嬉しい部分。
 

ちなみにこういう「別バージョン」を先にどこかで聴いてしまうと、ではオリジナルの方はどんなの?と興味を持ってしまいがち。
YouTubeなどない時代にはこれがまた悩ましかったりしたもの。

この辺りのあれこれはまた今度書いてみようかな。


ということで、ちょっと話が脱線してしまったが、聴くと心穏やかにさせてくれる一曲である。

或る日の小さい思い出

中1(1984年)の冬、私は熱を出して学校を休んだ。

私が体調を悪くしたりするといつも面倒臭そうに対応していた母が、その日は珍しく優しかった。
りんごをすりおろしてくれたり、おかゆを作ってくれたり。
その上、何か要るもの、欲しいものはないかとまで訊いてくれた。


(え、なんでこんなに優しいんだ!?なんか怖い。でも嬉しい。うーん。このかんじだと、ちょっとワガママ言ってもよさそうだな……)


私は調子に乗った。


「ミュージックライフっていう雑誌買って来てほしい。1月号、きれいなやつ選んでな」




熱は大したことなく、午後にはもうましになっていた。

そうして買ってきてもらったMUSIC LIFE(以下ML)をめくりつつ、寝床のそばに置いたラジカセでカセットテープを再生。
直近にエアチェックした、サバイバーの「I Can't Hold Back」──ただ、ラジオでは曲の途中でフェイドアウト(ガッカリパターン)したからフルでは録音出来なかったのだが。




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程よく甘いときめき感、ちょうどその時の冬の空気にキリッと冴えるみたいに聴こえたボーカル──。
まんまとハマる、みずみずしく青春を感じさせる系サウンドである。

この曲をテレビの洋楽情報番組で初めて聴いたとき、すぐに心を掴まれた。
あと、タイトルの語感も好きだった。


さて、この曲を繰り返し聴いていい気分に浸りつつ、私はちょっと悩んでいた。

次に買うシングルレコードはこのサバイバーの曲にするか、それともナイト・レンジャーの「クローズ・ユア・アイズ」(原題は「When You Close Your Eyes」)にするか。




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最初から最後まではつらつとした甘酸っぱさいっぱい、ツボ押さえまくり!
特にサビは私の頭の中でリフレイン状態で、こうなればもうシングルを買うしかないというサイン。


どちらもいっぺんに欲しかったけど……(万年財政難)。
とにかく、両方とも同じくらい気に入っていた曲。



(とりあえずサバイバーの方は一応、テープに録ったからな〜。だから買うのはナイト・レンジャーにしようか。でも、サバイバーは途中までしか録れてないのがくやしい。きっちり最後まで堪能するためにはやっぱりサバイバーのシングルを買おうか……)


このせめぎ合いは本当に悩ましかった。


しかし、せっかくならこの際どちらかのシングルも雑誌と一緒に買ってきてもらえばよかったのでは?とかなんとか思ったりしながら過去のノートをめくっていたところ、ある書き込みが。

1992年に書いた、これまで買ったシングルの記録。
づらづらと羅列してある中に 


ヴァン・ヘイレン「ホット・フォー・ティーチャー」 84年12月20日


とあったのだ(書いたことすら忘れてる自分)。



あれ?

熱を出して学校休んだ日、MLだけでなくヴァン・ヘイレンのシングルまで母に買ってきてもらってたってこと〜!?



この休んだ日というのが12月20日、ちょうどMLの発売日(毎月20日)。
私はMLを楽しみにしていたので発売当日を外すことなく購入していたし、だからこそ母に頼んだのだと。
なので日付けに関しては間違いない、はず。
が、シングル購入周辺のことはなぜかスッポリ抜け落ちていて思い出せない。

まあ、むりやり推測すると母はよく買い物の際、レコード店に寄っていたから、私が買う予定のシングルレコードをついでに買ってきてあげようか?……とかだったのかな?
それか、ちょっと早いクリスマスプレゼントだったとか?

というか、サバイバー、ナイト・レンジャーという前にヴァン・ヘイレンのシングル購入は決定してたんだ(忘れすぎてなんかもう毎度他人事)。



と、いうことで以上の思い出話の中の3曲について、少しだけ付け加えておこうと思う。


まずはサバイバー。


途中までしか録れていないテープを不満に思いつつ、でもどこかでそれで落ち着いてしまってシングルを買うという決断もなかなか出来ないうち、なんとなくそのままに。
ようやくアルバムを手にしたのは6年後。
以下はその当時の文章。



1990年5月31日(木)

サバイバー感想

「アイ キャント ホールド バック」
を1番の目当てとして、これを買った私。
中1のとき、すごく気に入ったのをおぼえている。
なつかしくてよかったけど、それ以上に他の曲もGoodでした。
正にアメリカンロックって音楽で軽くてさわやかという感想。



──時が経ち過ぎ、さすがに「I Can't Hold Back」への感想は薄味ですな。


で、ナイト・レンジャー。


シングルを購入したのはこちら。

決め手となったのは、エアチェックの機会に恵まれなかったということ。
もしナイト・レンジャーの方を録れていたら、結果は逆になっていたと思う。

ちなみに、段々B面の「Why Does Love Have To Change」の方が好きになり、こっちばかり聴いていたような気が……。


最後にヴァン・ヘイレン


なんと、シングルではギターソロ及びエンディングが短く編集されていてびっくり。

百歩譲ってエンディングは仕方ないとしても、エディのソロを一部とはいえ削るか〜!?

ノリノリで聴いていたのが瞬時に真顔となったのは言うまでもない。





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今回出てきた曲、ビデオに関してはまたいつかなんらかの形で改めて書く、かも?

Ratt あれこれ(6)

と、いうことで最後はメジャーでの1stアルバム「Out Of The Cellar」(1984年)。

ずっと聴いてみたいと思いつつ後回しになっていたのが、中3になってから友達(熱烈なラットファン!)経由にてやっと聴くことが出来た。

そういえば、ラットの名を一気に世に知らしめた最大のヒット曲「Round And Round」も実際にミュージックビデオ(以下MV)で曲を聴いたのは他のMV曲よりもちょっと遅かった。





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TVでMVを見たときの「バンド名と曲名をノートに書いた」ということ、それがラットに関する最古の記憶で肝心の中身は覚えていないというあるあるパターン。
ラットのファンになって、メンバーのインタビュー記事などでこの曲のMVについての言及を目にするたび、どんな曲なのか、またウォーレンが床を踏み抜いて下へ飛び降りる場面って?と見たい気持ちは募るばかり。


(なんで初めて見たときちゃんと見なかったんだよ〜自分!)


……後悔先に立たず。

とにもかくにもMV視聴の願いも虚しく長い間その機会に恵まれず、半ばその存在は私にとって幻のように。
と同時にこのMVがなんとなく神格化(!?)されていった。

なにか漠然と大掛かりな設定とか想像してワクワクと期待が膨らみ過ぎていたせいか、ついに見ることが出来たときは「…………あ、こんなかんじ…………」と静かにがっかりした感想だったことを覚えている(ほんと勝手な奴だなー)。

あと、このMVには“ミルトン・バール”が出演しているということでそれが特別なことのようだけど誰?と思ってもいた。
今になってネットで調べてみると、ミルトンはアメリカの有名な俳優及びコメディアンで、当時ラットのマネージャーだったマーシャル・バールはミルトンの甥とのこと。

そういう関係からだったのかー。
で、そのミルトン、MVでは華麗なる一族っぽい当主と夫人の二役。
同一人物だったのね。まんまと(?)気付かず。

ちなみに「Back For More」MVの最後、唐突気味に出てくる老ライダーもミルトン。
このMVを見た当時、なんでこの人で締めくくってるんだろう?と薄く謎だったのも今回ついでに解決した次第。



さて。

「Rat」(ドブネズミ)は地下にいるイメージで、アルバムタイトルでもそこから抜け出してくるみたいなかんじだがMVでは屋根裏部屋にいる。
こちらは「クマネズミ」の方の「Rat」かな〜?

そして、ウォーレンがギターと共に飛び込むように天井から降ってくるということが象徴的。
風穴を開けるというか……旧式で保守的、窮屈な空気を一撃で吹き抜けさせるなんともいえない爽快感!

二人のギタリストがソロを分け合う場面では、次のバトンを渡すみたいに頭上を指差すウォーレンの雰囲気、そこからのロビンの獅子の如き堂々たる姿の対比がすごくいい。

それからお気に入りの登場人物がもう一人、それはこの館の執事。
ラット側のスパイとか!?
何にせよ忠実なファンぶり、エンディング近くでのラットのスタジャンを着込んだ、(きっと)本来の姿で曲に合わせてノリノリな様子が実にチャーミングなのだ。


ということでやっと本題に戻る。


まあ早い話が……好きな曲しかないアルバム!



Wanted Man

お尋ね者集団【RATT GANG】がやってくる……!

と、そのままミュージックビデオのイメージが重なるオープニング。
ラットサウンドの醍醐味であるミドルテンポを軸に華やかでメタリック+重厚なリフ、渋みをも兼ね備えたツインギターはまさに耳福。
関連記事はこちら↓

obachan1971.hatenablog.com


You’re In Trouble

イントロからゴリゴリ鳴るベースが新鮮。
そんなベースのリフ主体Aメロから堰を切ったように全パートがなだれ込むサビが印象的。
ソロ前のシンプル&タイトなつなぎを助走に踊り出るベース、パワフルなドラム、更に煽りにかかるボーカルの“Hey Hey!”。
その中でどこか魔術テイスト香るギターソロが魅力。


Round And Round

ポップセンスをも煌めくラットの代表曲。
Bメロのときめき感は高まりをもってサビへと昇華、という胸キュン仕様。
二人のギタリストがそれぞれのストーリーを紡ぎ合わせるようなソロはもちろん、アウトロで弾きまくるギターも!


In Your Direction

ちょっとだけ取って付けたような(オイ)オープニングのあとに続くギターの流れがカッコイイ。
間奏やバッキングのタイム感、空気感。なんかアメリカ〜って感じる(まあ、アメリカのバンドですが)。
ソロパートでは一転、祭り囃子っぽい(!?)シンバルもにぎやかな展開。
その上に乗るギターはあくまでブルージーに浮かび上がり、心のままに気持ちいい。


She Wants Money

いろいろとグングン追い抜いてそのままかっ飛ばして行ってしまうみたいな曲。
連呼されるタイトルに主人公の怨嗟を感じるような、感じないような(なんともはや)。
とにもかくにも細かいこと考えず聴いてスカッとする系!


Lack Of Communication

曲が始まる前の、ギターのネックに指を滑らす、かすかな弦の鳴り、ピックが弦に触れる──聴いている側もスタジオにいるような臨場感伝わるこういうさりげない音、ちょっと得した気分&その直後のギターの音がカッコイイ。
イントロ途中で裏になるリズムがなんとなくギクシャクと感じるのは「意志の疎通不足」というのを表現しているから、とか!?
ボーカルの掛け合い(スティーヴン+フォアン)や合いの手式のコーラスを中心に小気味良い曲調。
ピンポイントながら爽快に突き抜けるソロがいい。


Back For More

メジャーデビュー以前のEP「RATT」(1983年)に収録されている曲の再レコーディング版。
こちらバージョンは原曲の情緒的な要素を少なくしてすっきりとした仕上がり。
跳ねるAメロはグルーヴィーでおしゃれ、適度に湿り気を帯びたサビ、そしてそのふたつの合せ技のようなソロが絶妙。
アウトロでフェイドアウトしていく泣き叫ぶようなギターが沁みる。
関連記事は↓

obachan1971.hatenablog.com


The Morning After

朝焼けに馬が駆け出していくようなイントロ、そしてそのまま走り続けるイメージの曲調。
淡々と哀愁の歌メロ、コーラスは的確。
手堅い構成で安心安定耳馴染み良好。
なにかこういう曲のお手本みたいなかんじもする。


I’m Insane

演奏よりボーカルの印象が強い曲。
読経のような歌が効く──この曲がかかっている間(2分56秒)は宿題やテスト勉強に集中力が沸き、なんかやる気が出た記憶(短時間すぎ)。
なにやらありがたいが邦題は「狂気」!


Scene Of The Crime

この曲にも邦題がついていてタイトルは「殺しの情景」(怖い)。
それはさておき、曲は心地良くゆったりおおらかな流れ、寂寥感を薄くまといつつも聴き味は晴れやか。
構成はきっちり。
式典っぽいイントロ、パレードのようなAメロ。
ラットらしいコーラスのサビ、愁いがじんわりな大サビ。
2回あるソロの1回目は軽やか、2回目は渋い印象、そして最後はイントロ同様の締めくくり。
そのエンディングがフェイドアウトしていくのを聴きながら、なんともいえない爽快さを感じるのである。



──その後、1988年に発表された4枚目のアルバム「Reach For The Sky」でラットから心が離れていく。
音楽性の変化で、私の好きだったラットではなくなったというよくある理由。
以降、自分の音楽嗜好も広くなり、また、いつかの時代のある時期に「LAメタルとかラットとかカッコ悪い」という言葉を聞いたとき、ラットのファンだった過去は自分の中のどこかの押入れの天袋奥に追いやってしまっていた。

何十年も経って今こうやって昔のことを書くうち、そういえばラットも好きなときあったし、サラッと書いておくか〜的なかんじで量も2回くらいで収まる程度という気持ちで軽く書き出してみると止まらなくなっていた。

資料として自分が中学生当時書いていたノートからラットに関する記述を探してみると、大なり小なり感想など結構書いてあったのが我ながら意外だったり。


そんなわけでものすごく長くかかってしまったが、ラットは私にとってハードロック、ヘヴィメタルの世界を覗くきっかけとなったということも含め、中学時代において重要な位置付けのバンドだったのである。

Ratt あれこれ (5)

そんなこんなで1986年。

この年発表されたラットの3枚目となるアルバム「Dancing Undercover」からの1stシングルは「Dance」。




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(ダ、ダンスって。軽っ!)


肩透かしみたいなタイトルに目が点となった。
以下はミュージックビデオ(以下MV)を見た当時の感想。



1987年2月13日(金)


ラット 「ダンス」

小さいとこでやってるから昔にもどったみたいだなー。
ティーヴンの服がロックしてますねー!!
白いやつで、キチッとしてなくてカッコイー。
ティーヴンは健在だ!これでもうダイジョーブ!!

ロビンは…なんとなくキレイ。もうちょっとなんとか… 表情もイマイチだ。
ボビーは眼光するどくなってスバラシイ。
フォアンはあんまり変わってないからまあエエとしとこ。

で…ウォーレンは….というと….。

これがすばらし〜〜〜変わりぶりなのだ!!
一年前のビデオのあのおとなしい顔とは大ちがいっ!!
ま、動きの方はおとなしいけど。でも前とは表情がちがう。
完全にワルの顔になってしまっている!
あのウォーレンが!(?)。
なんともあの顔は、アホというかコワイというか….目と目の間をちょっとよせて口をゆがませるところはエアロスミスのジョー ペリーを思わせるのである。
服もまあよかったし…. ウォーレンにはこれからもあの調子でやっていってもらいたいものである…。
でも、もうちょっとメイクしたらいいのにナ〜〜とは思うが。
まあ、ジョー ペリーのようなスタイルをめざしてがんばって下さい!?




──すごい。曲のこと、一切書いてない(いつもだろうが)。

1stアルバムの頃のような、ライブパフォーマンスにおいてアグレッシブな雰囲気のウォーレンがいてこそ、ラットはもっとかっこいい。
ずっとそんなふうに思っていた私。

自分の好みから少しずつ遠ざかっていくウォーレンに寂しさを感じつつ、いつか再び華麗にスパークしてくれることを勝手に期待していたところの、このMV。

当時の文章からはウォーレンの変化を歓迎しながらも半ばあきらめも入っている。
あーそっちなんだ〜……そっちに行くんだ〜……的な。

しかしながら、いくら昔はよかったと嘆いてもしょうがない。
時は進み、変化していくものなのだ(そうはいってもこれがなかなか受け入れられないことが多い……)。


このアルバムからは「Dance 」の他に2曲がMVになっている。
まずは「Body Talk 」。




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アルバム中、一番速い&メタリックな要素のある曲。
スタイリッシュに消化されているが、硬質な王道を芯に感じさせる。

ライブパフォーマンスのみのMVはとにかくカッコいいの一言。

安定のスティーヴン、貫禄のロビン、どんどん地味になるウォーレン(こら)、パワフルボビー、そしてこれまでのMVよりフォアンが目立っているのが印象的。



お次は「Slip Of The Lip」。




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こちらの感想はまたまた昔のノートから。



1987年5月4日(月)


4月18日(土) MTV ラット 「スリップ オブ ザ リップ」

スパイ大作戦」のパロディらしいけど。

とにかく〜〜〜、なんであのみんなでやるアクションを今までビデオで見せてくれなかったのだ!?
私はあれこそラットだ!(?)と思っている人なのだから。
それでファンにもなったんよっ!
だからこの中でのおそろいのアクションはとってもカッコよく思いました!!(やっぱり私はラットファンなんだな〜)

ティーヴンはワイルドになりすぎてワー ってかんじのおっちゃんで ウォーレンは口をあけまくるおにいさん、フォアンはよ〜っく動いて白黒のところではとってもハンサムになるっ!
ロビンは迫力のひとことで ボビーはお金数えるとこがかわいい明るすぎるボーシの人…。

ティーヴンは足を大きくひらきます。 それからウォーレン、白黒のとこでタバコくわえながらギターソロやるとこ、あの人がやると70年代の人がやってるみたいでおもしろ〜い。
あんなに速くよく弾くよ! ロビンのソロもやろうっ!!

はっきりいって女の人がラットの写真をとりまくってそれがスティーヴンに見つかってすてられるとゆー… そんだけ。
ま、音は軽くなった … かもしれへんような … 気が … する … ような …. (??)、でもしっかりラットなんだ!!

… だが … 最後のところ、あれはねえ〜〜〜。
ティーヴン ファンの人ならぐやじい〜〜〜〜のあらしですな。(?)
なにもあそこまでやらんでもぉ…. 別にスティーヴン ファンとちがう私でさえも嫌やなー と思ってしまったのだから。



──ふむ、そういう感想だったのか。
潔癖だな(!)。

で、なんだかんだで以前の音に未練が残っている模様。
いや、いいのはいいんだけど……的な。


アルバム全体としては前作のキラキラ感が影を潜め、アルバムジャケットのようにちょっと渋くなったイメージ。
音楽的にもグルーヴィーなノリあり、ブルーステイストありと幅が広がっている。

あまり好きではない一曲目の「Dance」は飛ばし、あとは好きな曲だらけなので通しで聴くとかよくしていた(なんかすいません)。

そんな聴き方もありながら、とにかく曲は粒揃い。
すっきりと無駄なくまとまっており、流れるようにどんどん聴ける。

あと、どんな曲調も「良くも悪くもスティーヴン節」なボーカルは私の場合、曲が好みでないとやけに煩く感じられてしまうのだが曲がいいと不思議な相乗効果で痛気持ちいいというふうに変わる。
このアルバムでは後者の方。
まあ、「Dance」はちょっと、アレだけど(しつこい)、それでもやっぱり煩くは聴こえないのがすごい。


ということで他の曲の一口感想も。

ソロ直後のCメロが特にいい「One Good Lover」、快調にかっ飛ばす「Drive Me Crazy」、変わったかんじのリフとリズムが心地よい「Looking For Love」、横ノリ+スモーキーな味わいの「7th Avenue」、ラットらしさ満開の「It Doesn't Matter」、気怠いグルーヴにしびれる「Take A Chance」、そして哀愁を帯びた「Enough Is Enough」──。


歌メロ、コーラス、リフ、ギターソロと全てにおいて丁寧さが感じられ、聴き応えを伴って耳に楽しくスッと入ってくる。
中でもギターソロは全曲、職人の手仕事の如くものすごくカッコイイ!


派手さはないが、だからこその輝きを持つ作品である。

Ratt あれこれ (4)

未聴だったラットのデビューアルバム「Out Of The Cellar」(1984年)が気になりつつもなかなか手が出せず悶々としているうち、2枚目の「Invasion Of Your Privacy」(1985年)がリリースされた。
以下、当時に書いた文章からの抜粋。



1985年8月3日(土)

私はきのう、「MUSIC TV」をみたら もー 1番最初に大ファンのラットが出たんよ!
ま、それをあてにして見てたんやが..
曲は「レイ イット ダウン」というものや!
その日ベティハウスでも見たから2回もみたのやで!!




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シャープなギターリフがカッコよすぎて大興奮、奇声を発して大喜びした記憶が(POPベティハウスで見たときだったかな?どっちでもいいか)。


フォアン・クルーシェ(ba)はいつもの派手な動きが嬉しいし、ロビン・クロスビー(gt)の貫禄ある堂々とした表情、しぐさがまさに愛称の“King”というかんじでなにか神々しい。
それまで隠れ気味だった美形ぶりが表出してきたウォーレン・デ・マルティーニ(gt)、ボビー・ブロッツァー(drs)はドラムセットのペイント柄共々、妙に(!)さわやか。
そしてスティーヴン・パーシー(vo)はゆったりとした動きに色気をまとわせている。


この演奏シーンは“リトルスティーヴン”の願い事の世界。
そこでロックスターになることを叶えたスティーヴンがもうひとつの願い事を叶えようとしているのだ。

お目当ての女の子はクールビューティな女性に。
終始鉄仮面の如く無表情な彼女はスティーヴンのことなど興味なさげ、でも最後には──。

彼女と絶妙な距離感を保つスティーヴンが見た目には引いたかんじでいい。内容はともかく。

そのスティーヴン、最初のほんの少しの場面だけ黒の衣装であとはずっと白い衣装なのはなぜ?
あ、ウォーレンとかぶってるからか(しらん)。


曲はというと、ミドルテンポなところにラットらしさを、しかし全体的に洗練された「おしゃれRatt & roll」みたいな印象。
キラキラとクリアで、その音からは夏の光が鏡に反射するかのような眩しさを感じた。


ということで最新の誘惑に抗えず、1stを飛び越して先に2ndの方を聴くことに。

まずアルバムジャケットのきれいなかんじ。
大人っぽい「リカちゃんハウス」にこれまた大人っぽい「白い白い家具シリーズ」を並べたみたいな(女性は「Lay It Down」のミュージックビデオと同じく、当時「プレイボーイ」誌モデルだったマリアンヌ・グラヴァット)。


……もしかしてMVとジャケットの女性は同じ人かな?と思ったものの、違うと判断してそのまま時は過ぎていたが今回ラットのことを回想するにあたり真実を知ることが出来、ちょっとすっきり。



さてA面。

1曲目の「You’re In Love 」。
スカッと明るく歯切れのよいキャッチーな構成、ボーカルとコーラスの掛け合いが軽快。

MVは「Lay It Down」よりもよく流れていた印象。
華やかなステージでのメンバーそれぞれの動きを見るのがすごく楽しかった。




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続いての「Never Use Love」。
1曲目の勢いをそのままに引き続きノリノリ!

カッチリとしたリズムにピッキングハーモニクスがピリッと効いたリフは小気味よく、イントロ終わりなどでさりげなく入る速いフレーズも好きなところ。

そういえばこの曲、或る箇所で針飛びを起こしていたっけ(涙)。
そこだけテンションを下げたりしつつ、曲終わりの余韻からの「Lay It Down」という流れは本当に鳥肌立つ展開!


と、このA面3曲を1セットみたいなかんじで聴き終えたらある程度満足、極端にいえば完結さえしていた。
私にとっての旨味はこの3曲にあり、特に「Lay It Down」に凝縮されていてそれに比べると他の曲はちょっと「?」という感想だったから。

何か地味というか……良くも悪くも一本調子なボーカルも浮いているように聴こえ、違和感といささかの退屈を覚えたのだ。

ただ、その中でB面1曲目の「between The Eyes 」は退屈か否かがせめぎ合っていながらも気怠さを含む曲調に投げやりな歌の雰囲気が噛み合っていて陰鬱な心地よさあり。
そしてエンディング近くにフッと聴こえるスパニッシュテイストなギターのフレーズや、サビ裏での振り子のようなリフがラストにも響いて心にまどろみをもたらすみたいな。


そんなかんじでシュッと垢抜けた印象のこのアルバムは好きな曲の方が少なく、気持ち的にはモヤモヤとするものだった。

まあでも、「夜のヒットスタジオ」という音楽番組にラットが出ると知ればそんなときだけ見たりとか、学校で友達とラットのことで盛り上がったり、そういうところで楽しい時期ではあったなー。

Ratt あれこれ (3)

ラットに関して目が眩(くら)んだかのようになっていた私。
その勢いでとある雑誌に手を出してしまう。

BURRN!」である。


話が逸れてしまうが私は初め、なぜかBURRN!が何なのかよくわからなかった。
中1だった1984年、洋楽情報番組「POPベティハウス」を見ていたところ流れてきたのがそのBURRN!創刊号のCMで、それで知ったのだが。


(本……なにかすごいことのCM……?)


男性のナレーションは早口で内容がよくわからなかったような記憶。
そして表紙のオジー・オズボーンは知っていたが隣の人(ギターのジェイク・E・リー)は知らなかった。

でもそのあとまもなくして買った音楽雑誌「MUSIC LIFE」の広告にも載っていて、それでとにかく専門的な雑誌のようだと理解した次第(遅〜)。

以来CMは毎月流れ、いつも同じ曲がかかっていて「バーーン!」って歌っているからBURRN!のために作ったテーマ曲だとずっと思ってたな〜(曲はディープ・パープルの「Burn」 で、テーマ曲として作られたのではない。念のため)。
初期は関連バンドのミュージックビデオが一瞬だけパッ!と映し出される構成のものもあってそれがかっこよかった。

そのうち、和装なのに鋲打ちリストバンドは外さないところに信念を感じるロブ・ハルフォードジューダス・プリースト)が表紙の1985年1月号に興味津々で買ってみたくてしょうがなかったりしたのだが、もうすでにMUSIC LIFEを買っていたし懐事情のことを考えるときびしい。

大体、MUSIC LIFEの記事内容にも99%ついていけてないのに専門誌だなんて身の程知らずもいいところ。
それに一度買ってしまうとズルズルと……なんてことになる恐れも。

そうして自分を戒め、ここはグッとこらえて物欲をコントロールすることになんとか成功していた。


……なのに。


ラットが表紙なんて。


ひどい!目の毒(いい意味)すぎる!
神は何ゆえ私に試練をお与えになるのだ!?




そんなわけでいつものように物欲に負け、85年BURRN!6月号を買ってしまった。
これ一冊だけ……というこれまたいつもの言い訳をして(そしてやっぱりその言い訳は守れず)。


めちゃくちゃ長くなったが要するにBURRN!を買うきっかけとなったのはラットであるということを言いたかった。


さてさて。

今回はラットのことを書いた昔の文章を引っ張り出してきてズラズラ並べてみようかと思う。

まずは1986年9月5日(金)に「TOKIO ROCK TV」で見たラットで、映像は85年3月に初来日したときのもの。
詳細は覚えていないし確信もないが、9月5日の放送内容としては「以前来日したアーティスト、バンドの放送回を振り返る特集」とかだったのかな??
まあ、それが何組かあってその中のひとつがラットだった。



1986年9月10日(水)

☆えー、これは9月5日(金)に「ROCK TV」で見たのんのかんそうコーナーですかなー。
まあ、かんさつです!

RATT ー  1985.3

スタジオにいるメンバー達は◯✕のついた棒をビラビラさせて例のごとくギャーギャーやってました(ウォーレンはやってないよ)。
前の席に左からロビン、スティーヴン、左うしろからボビー、フォアン、そしてウォーレン。
つまり、おとなしい(?)ウォーレンさんは1ばんはしっこだったのでした。

それで日本のミュージシャンのプロモ・ビデオを見せて、ラットが◯か✕かを決めるのんをやってたのですが、まずはサザンオールスターズ
なぜかみんな、「ウンウン」と◯。
みんなキャピキャピ。

次、チェッカーズ
ロビンなんてこの「ギザギザハートの子守唄」にノッていたんですよー!!
で ボビーをのぞいた4人はなにげない顔で◯。
ボビーは本気で「ノー ノー」。

で、次はラウドネス
さすがに全員、元気よく◯〜〜!!ウォーレンさんも親指立ててました!

お次は佐野元春
これには、みんな「どーするー?」ってなカンジでした。
で、またもやボビーは✕。
ティーヴンは✕だったけど◯にしてしまった。
「これでイイかー」ってなノリで。
ロビンは✕。フォアンは◯にしたり✕にしたり悩める少年(!?)だったよう。
ウォーレンは、「✕にしたら悪いから、いちおう……」という様子で静かに、しかも無表情で◯にしてた。

ハチャメチャやなあ。
でも、突然日本のビデオなんか見せられてわけ分からんかったりして。
ま、とにかく、スティーヴンが1ばん目立っとったのは、言うまでもない事実ですな。

このあと、ラットのビデオ「バック フォー モア」を見れてしまった!!
今日が最初で最後かも分からんけど、とにかく、見れたんやもん!
かんそうをかいてみようか!


直後のかんそう

わ〜 なんだこれは!めちゃこ古いのんやんか!うれしいやんか!
ティーヴンなんか昔から決まったポーズでしたー。
ウォーレンは昔の方がケバくて、よく動いてて、とてもよかった。…のになあ。
あのころはリキんでたんかな。


ちょっとしてからのかんそう

小さなスタジオか倉庫みたいなところでプレイしてて、ロビンがおもちゃ(!?)のような生ギターをひいてるとこから始まるのです。
いやあ、みなさん、とてもすてきなかっこうをしてました!
ウォーレンはとくに良かった!動きがはつらつとしてたもんね!

ティーヴンはずーっとおんなじ。落ちついているんですかね?
ロビンもそう。かわってない。フォアンも、ボビーも!
ただ、ウォーレンだけが、今は前のように、活発じゃないと思った。
今でもそう思うけど。
ウォーレンは、今は、ステージでもふだん着みたいだもん。

でも、「バック フォー モア」の、このビデオの中では、今とは別人のようにワイルドでしたよ!
本当に本当に、カッコよかったですよ、ウォーレンさん!
目もバッチリメイクしてて髪はまっくろ。
頭にまいてた布っきれがやけに印象的でしたー。
服も、しっかりハードロックしてたし。
動きは5人中、サイコーだった!!

このビデオ、ロビンのガールフレンドも出てんですってー。
これ、「ウォンテッド マン」の前にとったのカナ?
なんかそんなカンジ。で、この後、ラットはますますビッグになっていったのですねー。

…でも、これ、あのミニLPのんとはちがうなあ。
「情欲の炎」のんかな?あんまり変えん方がよかったのに。
ミニLPのんが絶対イイ!


ーおまけー ウォーレンさんに言いたい!


あのですねー、私の考えですけど、言わせてもらいますっ。
もっとメイクして下さい。目のまわりをもっと黒くして下さい。
ヘアもサラサラはちょっときれーすぎると思います。又、ブラックヘアにしてほしい。

それと、これが1ばん大切です!
ステージでの動き、ゆっくりしないでほしい!めちゃめちゃ動いてほしい!

ウォーレンさん、前はあんなにかっこ良かったじゃー、あ〜りませんか。
ギターをふりまわして腰をくねらせてくれー!
コスチュームもあんまりきれーくなりすぎないで!
これはラット自体に言えることだけど、クリーンすぎたらラットンロールじゃなくなってしまう!
ステージでくつろがないでよー!そんなことないと思うけどねー。



一口かんそう


ティーヴン パーシーについて

自信満々ってかんじです なんかこう とてもゴーカイで しかもにぎやかで まとめ役ってふんいきも コワイモノナシ!ってかんじ!


ロビン クロスビーについて

どっしりとした印象を与えたロビン とっても風格がありました
まだ若いのにね 内に秘めた何かがあるってカンジでステキです


ボビー ブロッツァーについて

ワーワーと大口をしょっちゅうあけてたボビーは明るさ1ばん!
サービス精神おーせいです なんかとてもハッキリしてるって思いました


フォアン クルーシェについて

わりとおとなしい人だなあってかんじ
ステージであんなに激しいアクションをするのにね
でも 暗くない!


ウォーレン デ マルティーニについて

ちょっと無口っぽいなあって なんかはずかしがりやのような人
けっきょく 余計なことはしないタイプね…



──こうして過去の文章を読んでみると、おまえはウォーレンの何なんだ!?というくらい、やたらウォーレンのことを気にしている。
ウォーレンから官能的で妖しい雰囲気がなくなったことを執拗に嘆いていて、それを勝手にラットの危機として捉えており、要望文めいたものを書かずにはいられない気持ちだったのだろう。

これを書いた時期のラットはビジュアル的にデビューの頃よりも垢抜けて変な言い方だが普通に小綺麗になっていて私はそれがちょっと不満だった。
勝手なもので元々は初期のビジュアルが嫌だったくせにファンになると今度はクリーンすぎてもダメとか言い出すという……。

あと、ラットの中ではボビーが一番好きだったけどこの頃にはすでにそういうのは落ち着いていたためか、ボビーのことは取り立てて書いてないな。

そして「Back For More」。





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演奏してる場所は倉庫とかではなくてクラブ(ライブハウス)かな?
とにかく当時は家にビデオデッキがなかったので、視聴しながらの感想走り書きや直後の新鮮な記憶をたどりながらの感想文。
で、このミュージックビデオを「すごく昔」の作品として書いているのが今からすると妙な具合。
1984年発表の1stアルバム「Out Of The Cellar」(邦題:情欲の炎)からの曲なので当時からしてもそんなに昔ではないのだが、中学生の感覚では二年前でもすごい昔だったような気はする。

それとこのときはまだ1stを未聴で、メジャーデビュー前のミニアルバム「RATT」(1983年)の中のこの曲(アレンジが違う)しか知らず、しかも好きな曲だっただけに少し混乱しつつもこの1stアルバムバージョンに不服そう。





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それはそうと若い頃の文章は方言がだいぶ入っているが特に「のん」っていうのを便利遣いしてるな〜。
ここでは「もの」、「〜というもの」というかんじで遣っている。
あと「めちゃこ」、「めちゃんこ」を早くしただけっぽいけど、こんな言い方してたのか〜。
意味は今も使う「めっちゃ」(すごく)と同じ。


というわけで過去の感想文をいくつかズラズラ並べるつもりが長すぎて一回分だけになってしまった。 
残りはいろいろまた次回。

Ratt あれこれ (2)

ラットの音楽すなわち「Ratt’n’Roll」の真髄はミドルテンポにあり──。

「Wanted Man」しか知らないくせにぼんやりとそんなことを思っていたような中1当時の私。
そして「You Think You're Tough」のミュージックビデオ(以下MV)で曲を聴いたとき、そのぼんやりとしたものは確信に変わった(って2曲ともたまたまミドルテンポだっただけ)。




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このMVでラットをもっと好きに。
たしか中1が終わった春休みのことだったと思う。
「魔の中2」(そんな言葉ないか)幕開け寸前、自分の中ではなにかいろいろ違ってきていた。
反抗期。中二病
ともかく、そんなかんじが迫りくる時期にこのMVがガッチリと心に刺さったのだ。

ちょうど「LAメタル」と呼ばれるバンドが勢いを持ってバーッと表舞台に出てきていた頃で、そのタイミングと私のややこしい年齢のタイミングが合致してそのままハードロックに傾倒し出した。
それまでジャンルということを知らず単に「洋楽」というひとくくりで捉えてきたのを、ようやくジャンル別に意識し出したところ。
そして思考は急激に極端になり、ハードロック/ヘヴィメタル至上主義みたいなところにまで行き着くことになるのだが、今考えてみるとそういうコアな期間というのはさほど長くなくてせいぜい数ヶ月間だったのでは、と。


で、MV。

車に備え付けられたテレビのリモコンボタンを押すスティーヴン・パーシー(vo)、手首いっぱいのブレスレット、バングルに80年代テイストの懐かしさを感じる。
さて、映し出されるのは歴代ラットのMV。
そこへ電波障害のように割り込んできたのはネズミを肩に乗せて愛らしい表情(!)を見せるオジー・オズボーン
ん?まさかの乗っ取り!?

いろいろなミュージシャンが賑やかに友情出演、オジーもその一人なのだがなんかノリノリすぎて最後には着ているTシャツを引き破る謎のサービスぶり!

と、やたら目につくオジーのことはこのくらいにして今度こそ本題。


ドライブ、バックステージ、ライブとそれぞれの中から魅力的な場面を目一杯詰め込んだ目まぐるしくも嬉しい眼福構成。

特にライブパフォーマンス。メンバー皆の動きがめちゃくちゃいい。
そしてシンクロなアクションが当時の私にとってはすごく新鮮でカッコ良すぎてドキドキが止まらないかんじというか。

バックステージでは歯磨き粉(まあ、粉でなくペーストだけど)のようなものをムダにする悪ノリスティーヴン、スタイリング途中の髪が爆発してる弟キャラなウォーレン・デ・マルティーニ(gt)、キラキラゴージャスな衣装もかっこいい、鏡の前で念入りチェックのロビン・クロスビー(gt)、ハンガー掛けの衣装をかき分けて顔を出したときの表情が威勢のいいお兄さん風のフォアン・クルーシェ(ba)、スティックでポーズ、茶目っ気たっぷりボビー・ブロッツァー(drs)。
こういうなかなか見ることの出来ない姿を拝めることも貴重でありがたかった。

ドライブパートではメンバー全員、スティーヴンの車に乗り込んできてキャピキャピ(死語!)。
ともあれすごく楽しそう。
フォアンがソロで歌うところ(さりげなく美声)ではクローズアップ姿か張り切っていてつい、見守ってしまう。

ということでちょっと変わった印象のリフ、それに沿わせるようなリズムが熱を持ったように頭から離れない。
そしてこのリズムこそラットだ!ラットンロールだ〜!と勝手に思い込んでやみつきのようになった。

もうこの状態になったら次に取る行動はただひとつ、シングルレコードを買い求めること。

ところがこのときは少し違っていた。
欲しくなったのはLPレコード、すなわちアルバム。

聴いたことのない曲が大半でその上高価、とてもじゃないが手を出す金銭的余裕などない。
そんな理由でずっとその選択肢はなかった。
ただ心の片隅で、アルバムを聴いてこそ一人前の洋楽ファンという憧れがあったことも事実。
それをだましだまし見ないふりをしていたのも限界にきていた。


……と言いつつ、このほんのちょっと前に実は「アルバム」としてはホワイトスネイク「Slide It In」の方を先に買ってしまっていた。
それも「カセットテープ」で。
しかも、「アメリカン リミックス バージョン」で(……)。

おっといけない、また脱線するとこだった。
このトホホな思い出はまたいつか記事にするとして。


で、まあそんなことでアルバムを買うという願望は一応すでに果たしてはいたものの、気持ち的にすっきり出来ていなかった。
私の中でのアルバムといえばやはりLP盤。


(ついこの前ホワイトスネイクのを買ったばかり。でも……)


結局、自分を制することが出来ず暴走。
短い間に4000円以上も遣ってしまい自己嫌悪に陥いるも、アルバムを手に入れた満足感はそれをはるかに上回っていたので結果、私の行動は間違っていなかった(都合のいい考え方)。


そんなこんなで手に入れたアルバム「RATT」(1983年)。
彼らのメジャーデビュー前に自主制作されたミニアルバムであるが、詳細に関してはこちらで→英語版ウィキペディア(翻訳)


ちょっとだけアルバムの感想を。

お目当ての「You Think You're Tough」を堪能出来る幸せはもちろん、1曲目の「Sweet Cheater」ではラットが速い曲をやっているというだけでまず衝撃を受け、攻撃的な演奏に圧倒される。

「U Got It」はザクザクと粗削りのシンプルすぎるリフが気持ちいい。

「Tell The World」はボーカルとリズムの合体技のようなノリのカッチリとした小気味よさに加えグルーヴをも感じさせる。

「Back For More」はメジャー1stアルバムにも収録されているがアレンジが違い、こちらの方がボーカルありの部分以外(イントロやソロ前など)が内省的なイメージで私はどちらかというとこのバージョンの方が好き。

そして「Walkin’ The Dog」、この曲はエアロスミスのカバー(こちらもカバーらしい。ややこしいな)。
当たり前だが明らかにラットじゃない曲調で当時は微妙な感想だった。

全体としては人馴れしていない野生の獰猛な雰囲気、そこにスティーヴンの歌声がなくてはならないほどぴったりとハマり、楽曲と一体となって聴く側に襲いかかるかんじというか。
そしてやっぱりラットの持ち味はミドルテンポであるという確信をより強くしたのだった。

とにかく、よく聴いたなー。



というわけでウダウダが止まらない。
また次回、書き散らす予定。