洋楽クラシックロック雑記帳

懐古趣味の70年代、大体リアルタイムの80年代を中心に思いつくまま。ほぼ備忘録

Ratt あれこれ (5)

そんなこんなで1986年。

この年発表されたラットの3枚目となるアルバム「Dancing Undercover」からの1stシングルは「Dance」。




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(ダ、ダンスって。軽っ!)


肩透かしみたいなタイトルに目が点となった。
以下はミュージックビデオ(以下MV)を見た当時の感想。



1987年2月13日(金)


ラット 「ダンス」

小さいとこでやってるから昔にもどったみたいだなー。
ティーヴンの服がロックしてますねー!!
白いやつで、キチッとしてなくてカッコイー。
ティーヴンは健在だ!これでもうダイジョーブ!!

ロビンは…なんとなくキレイ。もうちょっとなんとか… 表情もイマイチだ。
ボビーは眼光するどくなってスバラシイ。
フォアンはあんまり変わってないからまあエエとしとこ。

で…ウォーレンは….というと….。

これがすばらし〜〜〜変わりぶりなのだ!!
一年前のビデオのあのおとなしい顔とは大ちがいっ!!
ま、動きの方はおとなしいけど。でも前とは表情がちがう。
完全にワルの顔になってしまっている!
あのウォーレンが!(?)。
なんともあの顔は、アホというかコワイというか….目と目の間をちょっとよせて口をゆがませるところはエアロスミスのジョー ペリーを思わせるのである。
服もまあよかったし…. ウォーレンにはこれからもあの調子でやっていってもらいたいものである…。
でも、もうちょっとメイクしたらいいのにナ〜〜とは思うが。
まあ、ジョー ペリーのようなスタイルをめざしてがんばって下さい!?




──すごい。曲のこと、一切書いてない(いつもだろうが)。

1stアルバムの頃のような、ライブパフォーマンスにおいてアグレッシブな雰囲気のウォーレンがいてこそ、ラットはもっとかっこいい。
ずっとそんなふうに思っていた私。

自分の好みから少しずつ遠ざかっていくウォーレンに寂しさを感じつつ、いつか再び華麗にスパークしてくれることを勝手に期待していたところの、このMV。

当時の文章からはウォーレンの変化を歓迎しながらも半ばあきらめも入っている。
あーそっちなんだ〜……そっちに行くんだ〜……的な。

しかしながら、いくら昔はよかったと嘆いてもしょうがない。
時は進み、変化していくものなのだ(そうはいってもこれがなかなか受け入れられないことが多い……)。


このアルバムからは「Dance 」の他に2曲がMVになっている。
まずは「Body Talk 」。




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アルバム中、一番速い&メタリックな要素のある曲。
スタイリッシュに消化されているが、硬質な王道を芯に感じさせる。

ライブパフォーマンスのみのMVはとにかくカッコいいの一言。

安定のスティーヴン、貫禄のロビン、どんどん地味になるウォーレン(こら)、パワフルボビー、そしてこれまでのMVよりフォアンが目立っているのが印象的。



お次は「Slip Of The Lip」。




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こちらの感想はまたまた昔のノートから。



1987年5月4日(月)


4月18日(土) MTV ラット 「スリップ オブ ザ リップ」

スパイ大作戦」のパロディらしいけど。

とにかく〜〜〜、なんであのみんなでやるアクションを今までビデオで見せてくれなかったのだ!?
私はあれこそラットだ!(?)と思っている人なのだから。
それでファンにもなったんよっ!
だからこの中でのおそろいのアクションはとってもカッコよく思いました!!(やっぱり私はラットファンなんだな〜)

ティーヴンはワイルドになりすぎてワー ってかんじのおっちゃんで ウォーレンは口をあけまくるおにいさん、フォアンはよ〜っく動いて白黒のところではとってもハンサムになるっ!
ロビンは迫力のひとことで ボビーはお金数えるとこがかわいい明るすぎるボーシの人…。

ティーヴンは足を大きくひらきます。 それからウォーレン、白黒のとこでタバコくわえながらギターソロやるとこ、あの人がやると70年代の人がやってるみたいでおもしろ〜い。
あんなに速くよく弾くよ! ロビンのソロもやろうっ!!

はっきりいって女の人がラットの写真をとりまくってそれがスティーヴンに見つかってすてられるとゆー… そんだけ。
ま、音は軽くなった … かもしれへんような … 気が … する … ような …. (??)、でもしっかりラットなんだ!!

… だが … 最後のところ、あれはねえ〜〜〜。
ティーヴン ファンの人ならぐやじい〜〜〜〜のあらしですな。(?)
なにもあそこまでやらんでもぉ…. 別にスティーヴン ファンとちがう私でさえも嫌やなー と思ってしまったのだから。



──ふむ、そういう感想だったのか。
潔癖だな(!)。

で、なんだかんだで以前の音に未練が残っている模様。
いや、いいのはいいんだけど……的な。


アルバム全体としては前作のキラキラ感が影を潜め、アルバムジャケットのようにちょっと渋くなったイメージ。
音楽的にもグルーヴィーなノリあり、ブルーステイストありと幅が広がっている。

あまり好きではない一曲目の「Dance」は飛ばし、あとは好きな曲だらけなので通しで聴くとかよくしていた(なんかすいません)。

そんな聴き方もありながら、とにかく曲は粒揃い。
すっきりと無駄なくまとまっており、流れるようにどんどん聴ける。

あと、どんな曲調も「良くも悪くもスティーヴン節」なボーカルは私の場合、曲が好みでないとやけに煩く感じられてしまうのだが曲がいいと不思議な相乗効果で痛気持ちいいというふうに変わる。
このアルバムでは後者の方。
まあ、「Dance」はちょっと、アレだけど(しつこい)、それでもやっぱり煩くは聴こえないのがすごい。


ということで他の曲の一口感想も。

ソロ直後のCメロが特にいい「One Good Lover」、快調にかっ飛ばす「Drive Me Crazy」、変わったかんじのリフとリズムが心地よい「Looking For Love」、横ノリ+スモーキーな味わいの「7th Avenue」、ラットらしさ満開の「It Doesn't Matter」、気怠いグルーヴにしびれる「Take A Chance」、そして哀愁を帯びた「Enough Is Enough」──。


歌メロ、コーラス、リフ、ギターソロと全てにおいて丁寧さが感じられ、聴き応えを伴って耳に楽しくスッと入ってくる。
中でもギターソロは全曲、職人の手仕事の如くものすごくカッコイイ!


派手さはないが、だからこその輝きを持つ作品である。