洋楽クラシックロック雑記帳

懐古趣味の70年代、大体リアルタイムの80年代を中心に思いつくまま。ほぼ備忘録

Van Halen 「Jump」/「House Of Pain」*1984年の思い出*

初めてファンになったバンド、それがヴァン・ヘイレンだった。

理由は至って単純。
ギターの人(エドワード・ヴァン・ヘイレン)がかっこよかったから。


小学校生活もあと少しで終わり!という1984年、冬か春のある日のこと。

妹が家の外で遊ぼうとか言ってきたのを、

「ベティ見るからあとで」

と冷たく言い放ち(!)、TVの前にスタンバイ。

「ベティ」とは当時見ていた夕方の洋楽情報番組「POPベティハウス」(関西ローカル)のこと。
そんな日に流れたミュージックビデオ(以下MV)が「Jump」で、このときにヴァン・ヘイレンを知ったのだ。

そのときの表示はカタカナで “ジャンプ” バン・ヘーレン。
それを見た感想はというと、「バン・ヘーレンて、ヘンな名前〜」。

まあ、だいたいの事物をヘンだと思うことが思春期の始まりであって(?)。

それはさておき、非常に清浄な空気を感じるキーボードによるリフ、穏やかで心地よいテンポの曲の中、各メンバーを見てどう思ったか。

ドラムの人(アレックス・ヴァン・ヘイレン)はすごくエネルギッシュ。
ベースの人(マイケル・アンソニー)はヒゲをはやしている。
ギターの人はずっとニコニコしている。
ボーカルの人(デイヴィッド・リー・ロス)はちょっと顔が怖い。

こんなざっくりとした印象を持ちつつ視聴を続ける。

目がいくのは主にデイヴとエディ。

デイヴは目立ちたがり屋精神全開というかんじで、なんというか見ているこちらまで恥ずかしくなってしまった。
その、今まで遭遇したことのない系統(そうだろうね)過ぎてどう解釈していいのか戸惑うという意味で。

そのような人の傍らで、とにかく笑顔でいるエディ。
それが逆にそこはかとなく不気味という気がしないでもなかったが、アップに映ったエディを見たらそんなことすぐ吹き飛んだ。


「カッコイイ!」


それだけで全てが丸く収まった次第である。


その後まもなく、たまたまだったのかどうか忘れたがこのMVを見ているときに母もいて、私は画面の中のエディを指して「この人かっこいい」とわざわざ紹介したのを覚えている。

母の感想は、へ〜かわいいな〜とか。あと……ちょっと「野口五郎」に似てるというふうなことを言った。
たしかにかっこいいよりはかわいいだったな。
そして「野口五郎」というのは違うんじゃないかと。


そんなこんなで曲を気に入ったのかエディを気に入ったのか、ともかく「Jump」のシングルレコードを購入。




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アルバムジャケットと同じ天使のジャケットも可愛く(喫煙してますが)、部屋に飾るかんじで立て掛けて置いたりして。

曲はキーボードが全面に出ていてポップでありつつギターソロもしっかりと組み込まれ、シンコペが気持ちいいリズムの上を奔放に遊ぶように。
ただ、当時の私はそれに続く壮大なイメージのキーボードソロの方によりワクワクしたものだった。

このシングルのB面は「House Of Pain」で、こちらはキーボードのないヘヴィな曲調。




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派手に鳴りまくるシンバル群がイイ感じ、そしてギターソロがめちゃくちゃカッコイイ。
荒野を駆け出す飛び馬の如く始まるソロは自由に思うがままに疾走する!

それが忽然と消えて残るは舞い上がる土煙、そんなところをあとにして遠ざかっていくような渋いエンディング。

2曲とも好きでよく聴いたな〜。
以降、アルバム「1984」からのシングルは出るたびに買って結局4枚全買い。
こんなに買うならアルバムを買ってもいいのではと途中で思ったものの、後には引けず(何の意地だ?)。

そうやって、ささやかにファンを続けた私。
レコード店で見つけた、ロゴがあしらわれた缶バッジをなにげに中学のカバンにつけて行ったり。
本屋ではエディとデイヴが表紙の雑誌( ミュージックライフ1984年10月号) を見つけて、でもこういうのを一度買ってしまうと毎月欲しくなってしまうし……十数分ほど悩んだ挙句、ついに何冊かある中からできるだけきれいなのを選んでレジに持っていったり。
あと、初めて買った写真集というのもヴァン・ヘイレンだった。


で、過去の私はエディのことを何か書いていなかったかな〜と当時のノートをめくってみた。
その中から少しだけ。以下、抜粋。


1985年3月24日(日)

エドワード・ヴァン・ヘイレン

この人が私の1ばん好きな人なんですー!
エディはなんといってもカワイイのですよ☆
エディのとくちょうはというと 目 ですね!
優しい目でまつげがながーいんですね〜☆


──なんか、やたらルンルンしてるな(そういう年頃)。
中学1年生終了時期の、びっくりマークと星だらけの楽しそうな文章である。


そしてその後のヴァン・ヘイレンはというとデイヴは脱退してソロ活動へ、残されたバンドはサミー・ヘイガーを迎え入れ。
エディさえいれば他は誰でもいいというわけではなかった私にとってはショックな人事だった。

やはりボーカルはデイヴがいい。でないとなんだか違う。

こういう、自分が好きになった時のラインナップを動かされたくないという感情は結構あるあるだと思う。
いつ、どの地点で好きになったかということもいろいろと人それぞれ。ちょっと興味深くもある。

サミー時代にヴァン・ヘイレンを知ったという人は、デイヴのどこがいいのか全然わからないと言っていた。
サミーの方が歌も上手いし、と。

そうなのか〜そうだな〜と思いつつ、でもやっぱりデイヴのいたあの頃のヴァン・ヘイレンがいい。
聴けばすぐ、その当時の自分の感覚に戻ることは楽しい。

                               
     *



昨年書こうと思っていた記事が、今になってしまった。

エディは……きっと縦横無尽に、ギターで天を翔んでいることだろう──



合掌