洋楽クラシックロック雑記帳

懐古趣味の70年代、大体リアルタイムの80年代を中心に思いつくまま。ほぼ備忘録

Ratt あれこれ (4)

未聴だったラットのデビューアルバム「Out Of The Cellar」(1984年)が気になりつつもなかなか手が出せず悶々としているうち、2枚目の「Invasion Of Your Privacy」(1985年)がリリースされた。
以下、当時に書いた文章からの抜粋。



1985年8月3日(土)

私はきのう、「MUSIC TV」をみたら もー 1番最初に大ファンのラットが出たんよ!
ま、それをあてにして見てたんやが..
曲は「レイ イット ダウン」というものや!
その日ベティハウスでも見たから2回もみたのやで!!




www.youtube.com



シャープなギターリフがカッコよすぎて大興奮、奇声を発して大喜びした記憶が(POPベティハウスで見たときだったかな?どっちでもいいか)。


フォアン・クルーシェ(ba)はいつもの派手な動きが嬉しいし、ロビン・クロスビー(gt)の貫禄ある堂々とした表情、しぐさがまさに愛称の“King”というかんじでなにか神々しい。
それまで隠れ気味だった美形ぶりが表出してきたウォーレン・デ・マルティーニ(gt)、ボビー・ブロッツァー(drs)はドラムセットのペイント柄共々、妙に(!)さわやか。
そしてスティーヴン・パーシー(vo)はゆったりとした動きに色気をまとわせている。


この演奏シーンは“リトルスティーヴン”の願い事の世界。
そこでロックスターになることを叶えたスティーヴンがもうひとつの願い事を叶えようとしているのだ。

お目当ての女の子はクールビューティな女性に。
終始鉄仮面の如く無表情な彼女はスティーヴンのことなど興味なさげ、でも最後には──。

彼女と絶妙な距離感を保つスティーヴンが見た目には引いたかんじでいい。内容はともかく。

そのスティーヴン、最初のほんの少しの場面だけ黒の衣装であとはずっと白い衣装なのはなぜ?
あ、ウォーレンとかぶってるからか(しらん)。


曲はというと、ミドルテンポなところにラットらしさを、しかし全体的に洗練された「おしゃれRatt & roll」みたいな印象。
キラキラとクリアで、その音からは夏の光が鏡に反射するかのような眩しさを感じた。


ということで最新の誘惑に抗えず、1stを飛び越して先に2ndの方を聴くことに。

まずアルバムジャケットのきれいなかんじ。
大人っぽい「リカちゃんハウス」にこれまた大人っぽい「白い白い家具シリーズ」を並べたみたいな(女性は「Lay It Down」のミュージックビデオと同じく、当時「プレイボーイ」誌モデルだったマリアンヌ・グラヴァット)。


……もしかしてMVとジャケットの女性は同じ人かな?と思ったものの、違うと判断してそのまま時は過ぎていたが今回ラットのことを回想するにあたり真実を知ることが出来、ちょっとすっきり。



さてA面。

1曲目の「You’re In Love 」。
スカッと明るく歯切れのよいキャッチーな構成、ボーカルとコーラスの掛け合いが軽快。

MVは「Lay It Down」よりもよく流れていた印象。
華やかなステージでのメンバーそれぞれの動きを見るのがすごく楽しかった。




www.youtube.com



続いての「Never Use Love」。
1曲目の勢いをそのままに引き続きノリノリ!

カッチリとしたリズムにピッキングハーモニクスがピリッと効いたリフは小気味よく、イントロ終わりなどでさりげなく入る速いフレーズも好きなところ。

そういえばこの曲、或る箇所で針飛びを起こしていたっけ(涙)。
そこだけテンションを下げたりしつつ、曲終わりの余韻からの「Lay It Down」という流れは本当に鳥肌立つ展開!


と、このA面3曲を1セットみたいなかんじで聴き終えたらある程度満足、極端にいえば完結さえしていた。
私にとっての旨味はこの3曲にあり、特に「Lay It Down」に凝縮されていてそれに比べると他の曲はちょっと「?」という感想だったから。

何か地味というか……良くも悪くも一本調子なボーカルも浮いているように聴こえ、違和感といささかの退屈を覚えたのだ。

ただ、その中でB面1曲目の「between The Eyes 」は退屈か否かがせめぎ合っていながらも気怠さを含む曲調に投げやりな歌の雰囲気が噛み合っていて陰鬱な心地よさあり。
そしてエンディング近くにフッと聴こえるスパニッシュテイストなギターのフレーズや、サビ裏での振り子のようなリフがラストにも響いて心にまどろみをもたらすみたいな。


そんなかんじでシュッと垢抜けた印象のこのアルバムは好きな曲の方が少なく、気持ち的にはモヤモヤとするものだった。

まあでも、「夜のヒットスタジオ」という音楽番組にラットが出ると知ればそんなときだけ見たりとか、学校で友達とラットのことで盛り上がったり、そういうところで楽しい時期ではあったなー。