80年代に歌を出した俳優ということで思い出す、ドン・ジョンソン。
ドンはアメリカの人気TVドラマシリーズ「MIAMI VICE」(日本でのタイトルは「特捜刑事マイアミ・バイス」)のソニー・クロケット刑事役(主演)として人気爆発。
薄手のシャツにパステルカラー系のジャケット、無精髭さえもオシャレで日に焼けた精悍なルックスは男の色気を漂わせている──
私が知ったときはそんなイメージだった。
もっとも、当時の私にはその魅力の質が大人すぎてわからなかったのであるが。
ちなみに私もこの「マイアミ・バイス」を一応、毎週見ていた。
一応というのはドラマの内容よりヤン・ハマーによるきらびやかで気分の上がるオープニングテーマやドラマ内で流れる洋楽を聴いたり、時折りある様々なアーティストのゲスト出演をいつ誰が出るのかなんとなく待っていたり、そんな見方だったから。
と、前置きが長くなってしまったがそういう時期、私が中3のとき(1986年)に見たミュージックビデオ(以下MV)が「Heartbeat 」。
*アルバムタイトルも「Heartbeat」(1986年)
www.youtube.com
このMVを視聴記録ノートに書き込んだ際、「ドンさん、リキ入りすぎ」みたいなことを添え書きした記憶がある。
それほど気合いが伝わってくる。こんなドン・ジョンソン、見たことない!(ってマイアミ・バイスでしか知らないけど!)。
しかし、カタい。
萌黄色のギターが印象的なドゥイージル・ザッパなど演奏陣が自然体(モード系女性コーラスコンビは取って付けたみたいだが。てか、コーラスしてないよね!?)でいるから余計にドンの歌う姿がガチガチに見えてくる。
動線、立ち位置はもとよりこんなふうに、という演出はあるのだろうけど。
なんにせよ、なぜか見ているこちらをハラハラさせ、最終的に肩を凝らせるほどである(!?)。
あと、ドラマではほとんど吹き替えの方で聞いていて地声の印象などなかったくせにドンの歌声が高めの美声だったのが意外だった。
ストレートな歌い方ながら、熱い歌唱スタイルという感想。
ウィキペディアをチラッと参照してみると、ドンは学生時代バンド活動をしていたみたい。
だから気持ちが入りすぎてあんなかんじ(!)になったのかな?
とまあ、この演奏パートだけだと結構くたびれがちなところを絶妙に補ってくれるのがストーリー部分。
こちらでの当たり前に自然な姿といったら!(思わずホッとする……)。
さて、以下は私の勝手な解釈での見方。
ハードボイルドな世界観。
紛争地、命がけでカメラを回すタフな男。一匹狼的な佇まいが渋くカッコいい。
そんなカメラマンのドンの前に現れた女性──この曲における象徴的な存在。
ドンはずっと、自分の胸が高まる何かを探している様子でそれが彼女、というか。
二度の遭遇共にレンズ越し。
一度目は距離があり、一方的に彼女を見てキュンときた。二度目はそれより近くて彼女とも目が合った。
ドンも思わずポーッとして運命を感じる(?)のもつかの間、また彼女は風のように消える。
そういう宿命なのかもしれない。それでもまだ探し続けている……みたいな。
なにかこういうドラマや映画があったとして、そのサントラのMVのようなかんじ。
どこかにもしや、本編があるとすれば。
ちょっとこのストーリー単体で見てみたい気もする。