洋楽クラシックロック雑記帳

懐古趣味の70年代、大体リアルタイムの80年代を中心に思いつくまま。ほぼ備忘録

私と10cc (3) 「Art For Arts Sake」

「Art For Arts Sake」

*1この原題を知ったのは後のことで、(もはや愛読しているといっていい)新聞の週間FM番組表には「芸術こそ我が命」とあった。
邦題というやつだ。

こういうのってちょっと困ってしまう。
聴いたことのない曲の場合、タイトルを頼りにすることが多い。
歌詞の中にタイトルを探す──まあ、それを言ってくれていない場合もあるが──
何にしろ、手がかりのひとつではある。
ところがこれが邦題だと、それが出来ない。
う〜ん。でも聴きたいし。声でわかるかな......

なんか微妙にめんどくさい。
そんなネガティブな気持ち半分。
とにかく、流れる曲全てに耳を集中させれば。
なんなら保険として、全曲録音という手もある。
あとでじっくり判別すればいいではないか。


チェックする番組は、70年代洋楽をほぼノンストップで流すスタイル。
前半、CM、後半、そして最後にアーティストと曲名紹介、という構成だったと思う。

さて、全曲録音のつもりでスタートはしたものの......
違う曲及び絶対違うだろうと早い段階で確信出来た曲ではつい、流れている間に録音を停止してしまった。
そしてカセットテープを先頭なり前の曲終わりなりに巻き戻して次の曲に備える、というのをやってしまった。
だって、テープもったいないし!(正当化)。

まあ、そうやってガチャガチャやりながらも今何曲目というのはちゃんと把握しているつもり。

しかし、なんだろう。
どの曲もピンとこない。

紹介を聞いてタイトル、録った曲を照らし合わせた上でもなお、なんかモヤモヤする。

この曲、ほんとに10cc ......?



10cc - Art For Arts Sake


私の知っている(って2曲だけな)10cc ってかんじじゃない。
何曲か録音した中で、他の1曲にまだ10cc っぽいのがあったりしてもしかしてこっち!?などと疑念まで抱く始末。

(消したり残したり、ややこしいことしたしなあ。紹介部分も録音しとけばよかった......)

大体わかるでしょ、と甘く考えていた自分が確かにいた。
そんな私に「残念でした〜!」と舌を出す10cc 、みたいな。


では、なぜいろいろ「?」だったのか。

まず曲調。
妖かし系な導入部からのヘンテコなギターリフ。
なにやらうさんくさい乾いた雰囲気。
「え!?」と思った。
多かれ少なかれ様々な曲調があって当然だと分かっているつもりでも、わかりたくないというか。

それとボーカル。
無機質で冷たいかんじ。

歌い方を変えてるのかな?
もしかして違う人?
他にも違う声が入ってるし、違うバンド?──

考えれば考えるほど10cc ではないように思えてくる。
だいたい、メンバー全員がリードボーカルを取り、コーラスも多彩(おまけにマルチプレイヤー)とか知らなかったし、想像もしなかったから(逆ギレ)。

そんなかんじで、でも最終的に曲中で「Art」と言ってるっぽいこの曲が「芸術こそ我が命」であろうと一応納得することにしたのだった。


しかし、この曲をずっとよくわからないとかピンとこないとか(要するに気に入らない)、そんな状態のまま置いておくのは悔しい。
私はとにかく、この曲を聴いた。
そうして日々、根気よく聴き込むうち、だんだん好きになってきた。
噛めば噛むほど味が出る、スルメ的味わいをこの曲に感じ始めたのだ。
特にファンキーテイストなギターソロでフェイドアウトしていくアウトロはまさに痛快。


もし仮に10cc でなかったとしても(!)、そういうの関係なくこの曲自体を好きになれて妙にホッとした。
なにかひとつ課題をクリア出来たような、そんな気がしたからかもしれない。

*1:いつの話なのか全然わからない記事になってしまったがこの回想は私が高校生の時のこと