洋楽クラシックロック雑記帳

懐古趣味の70年代、大体リアルタイムの80年代を中心に思いつくまま。ほぼ備忘録

私と10cc (5) 長い空白とyoutube -Part1-

あれから──

私の中での10cc はカセットテープに録った13曲のみが全てとなっていた。
それだけで充分、満足していたから。
まあ......私からすればあのバンカラな「バンド名由来」のショックは大きかった。
アルバムなどを追求していく気も失せていて、10cc はもういいかな、とそんな気持ちにさえなっていたのだ。

お気に入りだったはずのエリック・スチュワートのことも、私が雑誌などで見たほんの少しの写真ではすごくクールな面だけが出ていて映像にあった色気は感じられず......あれ?みたいな。

そして映像の方も「I’m Not In Love 」(MUSIK LADEN出演時)以外のミュージック・ビデオを拝む日はついに訪れなかった。
そうこうするうちに、エリックへの関心も消えていったのである。

という状態だったので、10cc がエリックとグレアム・グールドマンで再結成し、92年と95年にアルバムが出て、93年と95年には来日も果たしているということにも気付かなかった。
そんなかんじではあったものの、とにもかくにもテープはずっと好んで聴いてきたし、録画した唯一のビデオもふと思い出しては視聴していた。

ただ、2000年代に入ってカセットテープもVHSビデオテープも処分することになり、それぞれMD、DVDへと移行したはいいが、その後MDウォークマンが壊れてMDは聴けなくなり、DVDは棚に並べてそれっきり(やっつけ仕事でリスト作りを端折ったため、どこに誰の何が入っているのかわからなくなってしまったということは大いなる原因......)。

そうして聴けなくなってしまった10ccの曲。
喪失感はあったものの、改めてMDプレイヤーやCDを買うなどという気も起きず。

これまでの長い年月の間に聴きすぎてしばらく距離を置く、そんな周期がやってきていた。
そして10ccとの距離はどんどん遠くなり、そのことを自覚しつつも感情には何も起こらなくなっていた。
TVなどで「I’m Not In Love 」が流れても、「あー、昔よく聴いたなあ」と思うだけ。
もはや私にとって完全に過去の曲となってしまった。
10ccに限らず、よくあることと言ってしまえばそうなのだけど。

以降、ラジオとは縁遠くなり、CDもほとんど聴かなくなっていた。
音楽を聴く手段は専らYouTube
とはいえそれもたまに、程度。
自分が音楽好きだったことすら時々フッと忘れていたりして(違う意味でやばい)。

と、こんな調子の日々を送っていたある日。
ものすごく久しぶりに10ccの「Taxi Taxi」が聴きたくなった。
手持ちの音源はもうない。
YouTube にあったりしないかな......

あ、あった!
なんかすごく嬉しい。
曲が始まると一気に時代が引き戻される。
懐かしいしやっぱりいい曲!
時を経ていることもあり、またちょっと違うふうに聴こえてくるのも新鮮。

この曲を好きな気持ちも高まって気が済むまで何回も聴いたりするのが数日続く。
で、一旦満足するとまた聴かなくなる。
そしてまた思い出しては聴きたくなって......そんなことをここ数年繰り返していた。
しかし、聴きたくなるのは不思議と「Taxi Taxi」だけで、我ながら極端というかなんというか。

まあ、そんなかんじで聴いてきて、いつしかこの曲の持つ清涼感を求めて夏に好んで聴くようになっていた(ちなみに最初は春っぽいイメージで春先に好んで聴いていた)。
とにかく聴くとスーっと涼しい。
体中の悪いものを洗い流してくれる感覚まであって、助かる(?)。

ということで直近の夏もこの「Taxi Taxi」(音楽以外では怪談も、って関係ないか)で涼を取っていたわけだが。

ある夜。
いつもなら曲を聴き終わればそれで終了、就寝という流れのところ、その日はなぜか「この曲が入ってるアルバムってどんなの?」という好奇心が初めて湧いた。
そこで、関連動画から無造作に選んだ「The Secret Life Of Henry」(再発CDのボーナストラックでオリジナルの方には収録されていない)を聴き、「なんか10ccってかんじだな〜」などとわかった風なことを思いつつ。

そうやっていくつか見ていく中で、なにげなくコメント欄に目をやった。
......英語ばっかり。
簡単でシンプルなものしか拾えないが、それでもなんとはなしに眺めていて、あるコメントに目が止まる。
それは「こんなにかわいいボーカリスト今まで見たことがない」といった意味合いのものだった。

「かわいい......?」

私は訝しんだ。
そのコメントはエリックに対してのものだったのだが、いやいや何かの間違いでは?
百歩譲ってかっこいい、とかでしょ?
私の中のエリックのイメージというのは遠い昔、高校生だった頃の「静かな色気を纏ったクールな人」というので止まっていて、しかもカチコチに凝り固まっていたからだ。
しかし、さらに他のコメントも見ていくと、どうやらアイドル的な人気もあった模様。

(コメントの大半はファンの人たちだから基本賞賛だろうし。だからかな?でも......)

私は妙に気になってきた。
そして一旦気になり出すと止められない。

もうこうなれば自分が納得する「かわいいエリック」を探すしかないな!(寝ればいいのに)。



──長すぎなのでPart2に続く──