もしかしたら1984年のはじめ頃だったかも。
ともかく、小6の時だったことは覚えている。
このミュージックビデオ(以下MV)に一目惚れした。
メンバーにではない。
その、メンバーが出ない方の映像に(失礼だなー)。
クワイエット・ライオットのファンらしき青年の部屋。
朝、アラームを止めると入れ替わりに聴こえてきたのは「Cum On Feel The Noise 」。
それと同時に、何やら部屋に異変が。いわゆるポルターガイスト現象?
どうやら悪さをしているのはベッドの上に引っ掛けられている鉄仮面っぽい。
LIVEでボーカルのケヴィン・ダブロウが客席に投げ込んだのを持ち帰ったか。
とりあえずうるさいので(!)オーディオのボリュームを下げようとするが、鉄仮面の呪いがかかり(?)、ロック状態で動かない。
しかもコントロールノブ、巨大化してるし。
気付けばスピーカーも、まるでそびえ立つように。
本体の鉄仮面が自爆するとさらに様相はエスカレート。
部屋の中は嵐のようになり、もうめちゃくちゃ。
もはや悪夢のような状況の中、それでも必死で曲を止めたい青年。
電源プラグを引き抜こうとするも、それも大きく成長していて超困難!
この悪戦苦闘ぶりが見ていてとても面白かった。
だから最後までずっとそのストーリーでもよかったのだ。
結局プラグは抜けたが、目の前に広がるのはなんとクワイエット・ライオットのステージ。
というわけで、ここからはバンドの演奏がメイン。
ちょっと残念(おいおい)。
当時の私の感想は、歌ってる人(ケヴィン)はおじさんだけどすごく頑張ってる、みたいな。
あとの人たちのことはきっと目に入ってない。
中学生になってから、ベースの人(ルディ・サーゾ)の不思議な弾き方とか動きが印象に残ったというのはあるが。
とにかく!
出だしのドラムからもうカッコイイ。
サビの歌メロも親しみやすく、私の心をガッチリ掴んだこの曲。*1
その中で、ギターソロに入る前のつなぎのようなところがシンプルだけど好きだった。
それからもちろんギターソロも。
これがまさしくカラッとして爽やかな風が渦を巻いて、くるくるっと吹き抜けるイメージ。
「わあ、聴いた後もいい歌すぎてなんかドキドキする。なんか、明るい未来が待ってるような気がする〜!」
そう思ってしまったら次に取る行動はこれしかない。
シングル盤を買いに行くこと、である。
さて、私はいつものレコード店へ出向いた。
当然、置いてあるはず。だって「今」の歌だし。
洋楽シングルコーナーにて今回のお目当てを探す。
あれ?ない?......いやいや、絶対あるよ。
見落としたかも、もう一度注意深く......
しかしながら何度探しても、ないものはない。
(うそ、信じられない。なんで置いてないの?)
自分勝手なことを思う私。
あると思い込んでいたものがない衝撃。
仕方ないので店員さんに訊くことにした。
私:「すいません。クワイエット・ライオットの『カモン・フイール・ザ・ノイズ』っていうレコードありますか?」
店員さん:「え?すいません、もう一回言ってもらえますか?」
私:「クワイエット、ライオットの、カモン、フィール、ザ、ノイズ」
店員さん:「クワイエット?」
私:「ライオット」
店員さん:「え〜っと〜、シングル、ですか?」
私:「はい」
店員さん:「クワイエット、ライオット、の?すいません〜、もう一回曲名を......」
私:「(え〜!?)カモン、フィール、ザ、ノイズ」
店員さんはなにか一生懸命、頭の中で探っているみたい。そしてちょっと、困惑気味だった。
私はといえば、次のようなことを思っていた。
......もしかしてクワイエット・ライオットを知らないのかな?
レコード店の人なのに??それに、あるかどうか調べるとかでもないし。
というか、何回バンド名と曲名を言わなければならないんだ。
ちょっと、恥ずかしくなってきた......。
結果、店員さんの答えは「ないです」。
ガクッ!!
明るい未来も何も、半ば放心してそのまま帰路に着いた。
店員さんに訊けばなんでも知っていて、魔法のようになんでも解決してくれるとでも思っていたのだろうな。
店頭になければ注文して取り寄せるというシステムも知らなかった。
ないならそれまで。
妙に割り切った気持ちで数日後、次に買おうと思っていたシングルを代わりに購入した次第。
まあ、そう言いつつ他のレコード店などでもこの曲をさりげなく探してはいたのだが、なぜか発見に至ることなく。
また店員さんに「ない」と言われたらどうしようという弱気で、といってアルバムは買わない主義(値段とリスクが高い)。
そうこうしているうち、買いたいシングルリストでの優先順位は徐々に下がっていき、ついに圏外となってしまった。
この「Cum On Feel The Noise 」を聴くとまずMVのこと、そしてシングルのご縁がなかったな〜ということを思い出すのである。
*1:ちなみにこの曲は英国のバンド、スレイドが73年にヒットさせた曲のカバー