洋楽クラシックロック雑記帳

懐古趣味の70年代、大体リアルタイムの80年代を中心に思いつくまま。ほぼ備忘録

Eric Stewart 「Make The Pieces Fit」

ウィキペディアによると、この「Make The Pieces Fit」は元々10ccのアルバム「Look Hear?」(1980年)のために書かれた曲らしい。
が、最終的にこの曲は同年発表されたエリックのファーストソロアルバム「Girls」(同名タイトルのフランス映画のサウンドトラックでもある)の方に収録された、と。


*「Girls」ver.

Make the pieces fit - Eric Stewart



その後、1982年に発表されたセカンドソロアルバム「Frooty Rooties」にもリミックスバージョンが収録されている。


*「Frooty Rooties」ver.

www.youtube.com


1枚目の方は、ボーカルにエフェクトがかかっていないのかな?
すぐそばで聴いているみたいで、それがいいかんじ。

ここでは「Frooty Rooties」バージョンの方の感想を書くことにする。


スキャットのコーラスでのフェイドイン──なにか隠れ家的な劇場の、舞台の幕が上がるよう。

エリックは語りかけるように歌う。
  
穏やかだけどちょっと寂しい。
秋の気配を肌で感じる時みたいに。

でもそれは声の色気に包まれていて、だから冷たくない。
不思議な感覚に惹き込まれ、結局は癒やされる。

やっぱりいいな。この声にこの発音。
心地良さにそのまま寝てしまいそうになるほど。


曲は耳を澄ますうち、静かに心の中に染み込んでくる。

優しさと物憂さが絶妙のバランスで交差する、どこか遠い過去からやってくるようなノスタルジックな音像。

色とりどりな弦の音色の調和、織りなすものひとつひとつが佳くて、個別にじっくり音を追ってみたり。
ほのかな灯りに照らされたようなCメロ(というか大サビというか)の部分が特にじんわりと温かいのも印象的。

そしてオープニングに戻っていくように、フェイドアウトで幕が下りる──。


きれいな小箱の中にスッと収めて大切に持っていたい、そんなふうに思う曲。