ウィキペディアによると、この「Make The Pieces Fit」は元々10ccのアルバム「Look Hear?」(1980年)のために書かれた曲らしい。
が、最終的にこの曲は同年発表されたエリックのファーストソロアルバム「Girls」(同名タイトルのフランス映画のサウンドトラックでもある)の方に収録された、と。
*「Girls」ver.
Make the pieces fit - Eric Stewart
その後、1982年に発表されたセカンドソロアルバム「Frooty Rooties」にもリミックスバージョンが収録されている。
*「Frooty Rooties」ver.
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1枚目の方は、ボーカルにエフェクトがかかっていないのかな?
すぐそばで聴いているみたいで、それがいいかんじ。
ここでは「Frooty Rooties」バージョンの方の感想を書くことにする。
スキャットのコーラスでのフェイドイン──なにか隠れ家的な劇場の、舞台の幕が上がるよう。
エリックは語りかけるように歌う。
穏やかだけどちょっと寂しい。
秋の気配を肌で感じる時みたいに。
でもそれは声の色気に包まれていて、だから冷たくない。
不思議な感覚に惹き込まれ、結局は癒やされる。
やっぱりいいな。この声にこの発音。
心地良さにそのまま寝てしまいそうになるほど。
曲は耳を澄ますうち、静かに心の中に染み込んでくる。
優しさと物憂さが絶妙のバランスで交差する、どこか遠い過去からやってくるようなノスタルジックな音像。
色とりどりな弦の音色の調和、織りなすものひとつひとつが佳くて、個別にじっくり音を追ってみたり。
ほのかな灯りに照らされたようなCメロ(というか大サビというか)の部分が特にじんわりと温かいのも印象的。
そしてオープニングに戻っていくように、フェイドアウトで幕が下りる──。
きれいな小箱の中にスッと収めて大切に持っていたい、そんなふうに思う曲。