洋楽クラシックロック雑記帳

懐古趣味の70年代、大体リアルタイムの80年代を中心に思いつくまま。ほぼ備忘録

10cc「Good Morning Judge」 (ミュージックビデオ感想)

少しだけこの曲の感想がある過去記事はこちら⬇
obachan1971.hatenablog.com


高3のとき(1989年)に聴いた10ccのベストアルバム「10cc Greatest Hits 1972-1978」で知り、「私の中の70年代ってイメージ炸裂!」と喜んでるような感想だった。
そもそも1972年から1978年までというくくりのアルバムなのだから全部もちろん70年代の曲なのだが。

ということで軽妙かつカントリーっぽいテイストが小気味よいこの曲のミュージックビデオ(以下MV)にあれやこれやと茶々入れでもしてみようかなと。 





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適宜コンパクトに挿み込まれる演奏シーンに続き、オープニングは刑事ドラマに出てくる犯人みたいに(って犯人か)逃げるエリック・スチュワート(追いかけてくる警官はグレアム・グールドマン)というシチュエーションから。

ここでの見どころはなんといっても「走るエリック」。

走るイメージが全く湧かないエリックがワーッと走る。
もうそれだけで貴重映像のような気がしてしまう。
階段を勢いよく駆け下りる場面では急ぐ気持ちと裏腹に脚がもつれて転げ落ちたりしないかドキドキ!(言いたい放題)。

頑張れエリック。
走り抜いてグレアムをまけ!



──そして。


「おはようございます、判事さん」



あ、捕まってる(でないと歌にならん)。


そんなこんなで始まるかわいい裁判劇。

グレアム、今度は判事に。
芝居っ気満々、こなれた感あり。

かたや被告人のエリック。
こちらは……

演技する気、ゼロだな(オイオイ)。

が、エリックはそれでいい。
それでこそエリックだ(?)。

なんかエリックがほとんど素のように見えるからか、比較するとグレアムの方はすごく張り切ってる人みたいに見えたりもして。


で、証言台のエリック。

すっきりきれいに髪を整えたエンジェルフェイスな人が首にバンダナを巻き、スタイリッシュながらちょっとワイルドな革のシングルライダースジャケットを着ていることに改めて不思議な違和感を感じることは置いといて(!)。

とにもかくにもエリックはスラスラと歌で供述。
グレアム判事はずっと首やガベル(木槌)でリズムを取りながらそれを聴いているのが飄々(ひょうひょう)としていていい。

それでその供述に出てくる一目惚れしてしまったかわい子ちゃんって、ストリートガール?
かわいいというよりなんか怖いよ。

そんな彼女に歩み寄り、肩を抱くエリック。


……ぎこちない。


そしてそのまま固められたみたいに連れ立って歩き出すのだがちょいワルっぽいギャルとアルカイックスマイルなエリック、どう見ても妙な組み合わせではある。


まあそのようなことでどうも欲望のまま行動してしまう人物らしい。
それが悪いことであればもちろん罪になる。
その結果のこういう状況がめんどくさいしもうさっさと刑務所に入れて欲しいみたいな被告。
さて12人の陪審員の皆さんは……。


この人たち、よく見ると全員エリックとグレアム。
扮装していろんな人になっているのだが、ほどよく肩の力の抜けた扮装具合といい、曲と連動した評議中の皆の動きといい、まんまとなごむ。
ちょっと一人ずつ見ていこうかな(ヒマ)。

まずは前列左から、勝手に職業予想してみる。


1: 税理士
2: 配送業
3: とうもろこし農家
4: スーパーの店長
5: 眼鏡店勤務
6: 高校教師(数学)

次は後列左から。

7: 百科事典のセールスマン
8: サンタクロース(普段)
9: 宝石商
10: ホテル経営者
11: タロット占い師
12: 俳優


……あんまり身近にいるような人がいない?(貧弱な想像力)。

それはさておき、この面々の中で個性を感じるのはやはりというかグレアムが担当した人たちで、ひとりひとり簡単に性格付けまでされているのでは?
たとえば2の人、気軽に来てほんとにお気楽なかんじ、4の人の生真面目なかんじ、などなど。

で、エリックが担当した人々はこれもまたやはりというか誰に扮しても結局「エリックさん」なのが素晴らしい。
その中でなにげに1のエリックは早く帰りたそう(!?)な表情があったり、12のエリックなんて扮装もしてないよね(と言いつつ俳優って書いたけど)とかそういう見方をするのが面白かったり。


……いや、待てよ。
そういえば6のグレアムも扮装してないっぽいな。
もしかして6と12はエリックとグレアムそれぞれ本人役なのかも。
他の陪審員たちが首をずっと横に振っている場面でこの二人だけが首を振らずに傍観してたし(意味不明な推理)。

あ、ちなみに陪審員の評議内容は「彼はやってないよね〜」みたいな?(超ざっくり)。


さ、続いての供述は!
なんと、車の窃盗でございます!(通販のCMみたいに言うな)。

こちらの再現シーンはカメラアングルやベルボトムの脚長効果も手伝ってエリックの脚の細長さが一層際立つ。
この場面、車もかっこいいし颯爽(やってることは悪いけどね!)。

とにかくよっぽど早く刑務所に入って落ち着きたいのか、洗いざらい軽やかに。

ここでも陪審員側の意見は「やってない」。
で、そんなに言ってくれるのならそうなのかな、エヘヘ(?)とでも思ったのかどうかは定かではないがエリック被告、ここに来て罪を否定し出したのだ。
僕はやってないよって、え、じゃあ今までの素直な供述はなんだったの〜!?


いやはや全くもってヘンテコな被告なのだが、ついに暴挙に出る。
あろうことか法廷にギター及びアンプを持ち込んでおり、証言台を倒して見せつけるようにカッコよくソロを弾きだしたのだ!

一体これはどういうことか。
煮え切らない判事への挑発か?

それに対し、判事は──


まさかの挑発に乗る!同じくギターで!

判事側もギターを隠し持っていたのだ。
まさに掟破りである。
グレアムはベースなのに(そっち?)。

こうなればもうバトルあるのみ。
レスポールのエリックか、ストラトキャスターのグレアムか?

しかし、いい掛け合い。
バトルというよりなんかほのぼのしてるうちに終了(早〜)。


そうしてギターで頑張った甲斐もあり(もう何が何だか)、刑務所に送られた(戻った)エリック。
一瞬しか映っていないが牢の中で喫煙したりして、部屋着(舎房着)でのびのび。

それにしても鉄格子越しのエリックはすっきりといい顔!
外に出ていろんなことしてそれなりに楽しんだとしても帰る場所はなんだかんだ言って結局はここ(牢獄=ホーム)、やっぱり家が一番落ち着く〜的な?

ただ、個室ではなくルームメイトがいてこれが見るからにヤバそうな雰囲気の受刑者(演者はまたまたグレアム。芸達者!)。
エリックに新聞を取り上げられても速攻で取り返し、いかにも底意地の悪そうな表情が憎たらしい〜!(ってどっちもどっちだが)。

はたしてこのふたり、仲良くやっていけるのか否か!?




──う〜ん、でも欲を言えば演奏シーンだけの別バージョンもあればよかったのになー。

エリックは何かのお店のユニフォーム風赤系のピンストライプ模様の服がかわいいし法廷とは違うギター(レスポール ダブルカッタウェイ、というやつ?)で演奏もノリノリ。
ドラムのポール・バージェスはこの場面でしか見ることが出来ないからこその手前での配置なのかな?
逆にグレアムはシンバルに隠れがち(それを言えばエリックもだけど)で目立たない存在みたいになっていてもったいない。

赤、黄、青と信号のような色のライトもレトロポップでおしゃれ。
やはりこちらの映像の方も、もっとじっくり見てみたいと思った次第。


とはいえ充分楽しいMVということにはもちろん、異議なしである!!