洋楽クラシックロック雑記帳

懐古趣味の70年代、大体リアルタイムの80年代を中心に思いつくまま。ほぼ備忘録

Kajagoogoo 「Big Apple 」

カジャグーグーは私の洋楽人生黎明期に知ったバンド。
もっとも、それは小5のときに買った日本のアイドル雑誌で紹介されていたのを見たというだけだったのだが。

今回はすごく好きな曲のひとつ、「Big Apple」(1983年)のことを書いてみる。




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曲に関しての最初の情報は小6のとき、これもまたアイドル雑誌から得たように思う。
リマール(ボーカル)の脱退、ベースのニック・ベッグスがボーカルを兼任することになり、その第一弾シングルが「Big Apple」という記事。 

ラジオで初めて曲を聴いたのがたしか中学に入ってまもない頃(1984年)で、そのときの感想は「なんか、むずかしい」。
むずかしいイコール楽しめない、だから退屈。

小5のときから知っているからというよくわからん理由でカジャグーグーを嫌いになりたくなかった私は複雑な気持ちに。
とにかくエアチェックはしたのでこの曲を好きになるよう自分に暗示をかけつつ何度も聴いて馴染もうとしてみたものの、ダメだった。 


この曲に感じるもの、それはなんといってもスパイシーな爽快感。
だがそれは当時の私にとってはただ辛(から)いだけだった。

そしてニックのボーカル。
硬質な歌声は曲に負けず劣らず清々しい。
甘くないメントールキャンディのスースーするかんじ。
しかし、どうもしっくりこない。
フワフワとしたプラチナブロンドのおしゃれで細身、ソフトなルックス。なのにそんな声?みたいな。
見た目で勝手になんとなく、甘くやさしい系の歌声を想像していたけど、実際に聴くとあんまり好きな声じゃなかった衝撃。


ちなみに、だからといってリマールの声が好きだったわけでもない。
リマールは、へんな言い方だが甘ったるい。
歌い方も含めて柔らかく艶のある美声なのだが、いかんせん色気とムードがありすぎなのだ。
メロンにブランデーをちょっと振りかけたみたいなイメージ……って、食べたことないけども……それはそれは甘美であろう。
でも子供だった私には受けつけなかった。
甘い系なら根こそぎOK、ではないのである。あ、でも別にリマールが嫌いとかではないよ(ややこしい、そしてめんどくさい)。


閑話休題

それから曲の方も、「アップル」というかわいい響きにつられてポップなとっつきやすい曲調、みたいに想像していたのかも。
この時、「ビッグ・アップル」がニューヨーク市のニックネームだということを知っていたかどうか……まさか、そのまんま「大きいリンゴ」の歌とか思ってたんじゃないだろうな。その辺の記憶はもう定かではない。

まあ、多分そんなわけでなかなか好きになる要素が見当たらず、ハードルが高いというかむずかしく感じて気に入らなかった。

録音(エアチェック)していたテープはすぐ伸びてしまい、以来進んで聴こうとするでもなく数十年経ち、ふと思い浮んでYouTube で聴いてみたところ、え、こんなにかっこよかったっけ?と目が覚めるみたいだった。



*TV番組出演時。当て振りながらニックのベースを高い位置で構える様子からは上手いオーラが。

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スラップで弾(はじ)き出される音数はもれなく標的に命中していくような。
シンセドラム、なんか懐かしい。当時はこういうシステムが最先端というふうに感じた。

とにもかくにもこの曲をほとんど忘れている間に私は着実に歳をとっていき、感覚も変わった。
退屈と思った曲、今ではスタイリッシュな躍動感に退屈しているヒマもなく、辛くてムリと感じたスパイシーさはもはや心地良い。
ニックの声に関してはその後シングル「The Lion’s Mouth」、「Turn Your Back On Me」(2曲共1984年の作品)を楽しく聴きながら一応、克服(!)。
その上で、おばちゃんとなった私の耳には懐かしく好もしい声となっていた。


すごく好きだった曲が後年嫌いになることはあまりないような気がするが、逆は結構多いパターン。
こういうの、やっぱり嬉しい。